影山飛雄に嫌われた〈影山飛雄〉

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「ねぇねぇごめんって」

「……………」

「わざとじゃないんだよピーヤ」

「殺す」

「ｱｯ ｺﾞﾒﾝﾌｻﾞｹｽｷﾞﾀ」






影山くんがわたしの目の前で、シャーペンを突きつけてくる。これ瞳狙ってませんか影山氏。的確に急所を突いてこようとする精神嫌いじゃない。




影山くんが、口をへの字にしてわたしを睨む。きったない字が、机の上の原稿用紙にて躍っていた。



そう。影山くんは今、反省文を書かされている！！わたしのせいで！可哀想かよ。


　


「くっそが………。原稿用紙4枚以上とか、無理すぎるだろ……」

「まぁそうだよね。国語12点の君にとっちゃそうだよね。納得」

「うるせぇ……誰のせいでこうなったと思ってんだてめぇ……」

「影山トビウオ。自業自得って言葉知ってる？」

「よし殺す」




ただの可愛い冗談じゃん〜やだ〜ねぇ待って教科書の角こっちに向けてこないで角ってところが殺気を感じるていうかシャーペンで刺せばよくないねぇ待って落ち着こうダメだよあっ。




無事に教科書の角で目潰しをくらったわたしは、大人しく座って影山くんが書く反省文を見ていた。






「………影山くん、反省の「省」間違ってる。それじゃただの「少」だよ目が逃亡してるよ」

「…………」

「影山くん文法おかしいよ。なんだよ「これからは気をつけようと思ったます」ってアーニャかよそんなに可愛くねぇだろ」

「…………」

「影山くん先生の名前間違えてるよ誰だよさきき先生ってささき先生だよあと佐々木くらい漢字で書きなよ」

「…………」

「影山くん字汚いよ反省してるっぽい字書きなよはい全部書き直しね」

「…………」

「影山くん顔変だよ」

「てめぇぇぇええええええええ！！！！！」

「なになになに！！！！！？怖い怖い怖い沸点どこ！！！？だから教科書の角やめてぇぇえええ！！！」




なんで怒るの！！？え、思ったこと言っただけなんだけどｱｯ



影山くんに再び頭を教科書の角でどつかれて死亡いたしました、AAですどうも。


頭をさすりながら、原稿用紙とにらめっこする影山くんを大人しく見つめる。けれどすぐに飽きてしまった。




スマホをいじってみても、特に面白そうな記事はない。面白いゲームもない。ただ黙って、影山くんを見つめるだけ。


こうして見つめていると、彼が本当に整った顔立ちなのがわかる。クッソ腹立つ。




沈む夕日に照らされながら、影山くんは汚い字を書いては消しを繰り返す。ずっと。

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