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「影山飛雄です。好きなもんはバレー、趣味はバレー、特技はバレーっす。よろしくお願いしゃす」
入学式の日。
初めて顔を合わせたクラスメイトたちとの自己紹介で、そんなことを言った彼を、わたしは未だに忘れない。
担任の先生が、「少なくとも名前、好きなもの、趣味、特技くらいは言えよー」と自己紹介を1秒で終わらせようとする生徒たちを制したが、全てを網羅してなお、こんなにインパクトの強い自己紹介があるか?
ぶすっとした顔は目元がきついけど綺麗に整っていて、卵みたいな頭には触りたくなるほどつやつやした髪が生えている。
わたしの視界は彼の高い身長によって遮られていた。顔を横に向けると、す、っと通った鼻筋が見えて、思わず口が半開きになる。
がたん、とやや大きい音が立ち、彼が座る。影山飛雄、影山飛雄………とわたしは、頭の中で何度もその名前を反芻した。
影山飛雄とか、なんかトビウオみたいで面白くない?
影山飛雄の名前を脳内で繰り返していたら、なんか段々そんなことを思ってきて、一人でツボっていた。脳内で。
ダメだ。なんかもうダメだ、これ。
頭の中でとはいえ、まさかどこぞの少女漫画のモテモテヒーローみたいな台詞を入学直後にするとは思わなかった。
「…………?」
「あ。影山くんだ。遅かったね」
ひらひらと手を振ってみせる。彼はどうやら、部活のことで職員室に呼び出されていたみたいだ。
呑気に肘をつき、笑顔で彼に手を振るわたしは、彼の席に座っている。
わたしの席は彼のひとつ後ろだ。授業中に黒板が見えにくくてしゃあない。
「…………?………」
「ちょっと待てなんで上に座ろうとしてんだ影山てめえ」
眉間に皺を寄せてハテナマークを浮かべたまま、影山くんが黙って自分の席に座っているわたしの上に座ろうとしてくる。この子大丈夫かな。
わたしが止めると、じゃあどうすりゃいいんだとでも言わんばかりに、更に眉間が険しくなった。老けるよ?
「影山くんやばすぎ。普通は避けてくださいとかって言うのに………問答無用で女子の上座る180cmとかうける〜」
「………お前なんで俺の身長知ってんだ」
「え?影山くんを毎日眺めて付き纏ってたら自然に頭にインプットされてた」
「お前の方がよっぽどヤベぇわ」
「え………?わたしの事好きなの……?」
「頭湧いてんのか」
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かくも。(プロフ) - さなかさん» コメントありがとうございます。ツンデレな影山くんを目指したので、そう言っていただけて嬉しい限りです……! リアルのこともあり、更新はゆっくりになってしまうとは思いますが、これからもどうかよろしくお願いいたします。 (2月24日 21時) (レス) id: 0dd49dac82 (このIDを非表示/違反報告)
さなか - ツンデレ!(胸が打たれる)・・・可愛い 影山君めっちゃ見てて楽しいです!これからも頑張って下さい‼︎‼︎ (2月23日 20時) (レス) @page21 id: c6c26cf44c (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - かくも。さん» ✉️。こんにちは!いつも作品見てます!!全作品を何回も繰り返す程大好きです!!もしよろしければ一緒にボードで会話しませんか?ボードに返事送ってます。嫌じゃなければボード返事待ってます!これからも更新応援してます!!💝 (2月6日 19時) (レス) id: b32654e3a5 (このIDを非表示/違反報告)
かくも。(プロフ) - コミュ障さん» コメントありがとうございます。需要しかないだなんて言葉を頂けて嬉しいです。更新頑張るので、これからもよろしくお願い致します! (11月25日 22時) (レス) id: 52443ca11f (このIDを非表示/違反報告)
コミュ障(プロフ) - 結局優しい影山大好きすぎるぅ!更新ありがとうございますマジで需要しかない... (11月25日 21時) (レス) @page11 id: aeac63a63d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かくも。 | 作成日時:2023年11月15日 23時