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五条悟。
呪術界において、この名を知らぬ者はいないだろう。
現代最強の呪術師と呼ばれる彼は、禪院家と同じく御三家の出身、五条家の現当主だ。
そんな五条悟は勿論のこと、わたしと同じく特級呪術師である。
とは言っても、わたしが特級になってからまだ一年弱ほどしか経っていないため、その言葉の重みの差は相当なものになるだろうが。
まあともかく、わたしと五条悟との共通点などこれくらいのものなのだ。
そんな彼とわたしは今、禪院家の一室で向き合っている。
「久し振りだねぇ、星来。元気してた?」
「はぁ、まぁ…………」
惜しげもなく大きく脚を広げてくつろぎ、ひらひらとわたしに手を振る目隠しの男は、間違いなく五条悟であった。
なぜ彼が禪院家を尋ねて来たのか。全く不明だが、どうやら彼はわたしに会いに来たらしい。
五条悟と最後に会ったのは、記憶が覚束ないが十歳の頃かそこらだと思う。
禪院家当主の直毘人と話しているところをたまたま目撃したのだ。
そこからは、恵くんの話の中に出てきていたぐらいで、ほとんど接点はないはずだった。
呪術師の全体会議くらいでしか彼を目にすることはない。それだけに、今のこの状態はかなり異常であった。
「いや〜しかし、星来が特級かぁ。投射呪法みたいな術式で特級認定されるだなんて凄いね。おめでとう」
「どうも…………」
一応だが、ぺこりと頭を下げておく。それに五条悟は、満足そうにうんうんと頷き返した。
「そういえばだけど、高専に通うことになったんだってね。聞いたよ」
ぽん、と手を打って、五条悟はガサゴソと懐を漁り、小さな黒い箱を取り出した。
「コレ、ちょっと早いけど入学祝い。ドーゾ」
「………?ありがとうございます」
黒い箱を受け取る。白ければ婚約指輪なんかが入っていそうなその箱は、少し重く、高級感を感じさせた。
そろり、と開ける。音は全くしないまま、箱の中から間違いなく高価であろう懐中時計が出てきた。
「!、これは…………」
「お、気付いたね。さすが。それ特級呪具だから、丁寧に扱ってよ?」
けらけらと笑う五条悟。微量の呪力を纏っているその時計は、どれがどれか分からないくらい秒針が沢山あって、それぞれが全く違う速度で針を刻んでいた。
「なかなか面白いでしょ。使ってあげてよ」
禪院家でも見たことがない類のそれに、お礼を口にしながらも、そっと机の上に置いたまま、触れなかった。
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星音(プロフ) - かくも。さん» Ifでも泣いちゃいますよ。なりチャでも死んでたら号泣ですね。ほんとifでよかった。はい、これからもよろしくお願いします! (1月2日 13時) (レス) id: ad93be62fc (このIDを非表示/違反報告)
かくも。(プロフ) - 星音さん» コメントありがとうございます。Ifとはいえ、一回書いてみたかったんですよね………そう言って頂けて嬉しいです、成りチャなどではまだ生きてますので、これからもよろしくお願い致します! (1月2日 12時) (レス) id: 447326c752 (このIDを非表示/違反報告)
星音(プロフ) - 星来ちゃんが、死んじゃった……。泣けない鈴の代わりに私が沢山泣いちゃいました (1月2日 10時) (レス) id: ad93be62fc (このIDを非表示/違反報告)
かくも。(プロフ) - jyudo0517さん» こちらこそありがとうございます……!奈穂ちゃんと星来には普通の女の子としていっぱい喋って頂きたかったので、いっぱい話してもらいました!笑 こちらこそ、これからもよろしくお願い致します! (12月29日 19時) (レス) id: 2246c6766d (このIDを非表示/違反報告)
jyudo0517(プロフ) - 奈穂が話してる………!(感動)ありがとうございます!!解釈一致です!!これからもよろしくお願いいたします!! (12月29日 19時) (レス) @page40 id: e508273c49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かくも。 | 作成日時:2023年11月4日 19時