【三重高専】【派生作品】制御不能なきみたちへ

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走馬灯。

　






その言葉の意味も漢字も、わたしにはわからないけれど、今なんとなく、それが頭に浮かんでいる気がする。

　
　
あはは、もう、ほんとにしぬんだなぁ。きっと養護教諭の先生が一生懸命反転術式をわたしにかけてくれているんだろうけど、さっきから身体が重すぎるままだ。きっともう、ておくれなんだろうな、



血は依然止まらない。あぁ、傘屋先輩ごめんなさい。きっとつらいだろうに、きもちわるくて、ごめんなさい。けど、もう死ぬから、安心していいよ。
　


みんなも、もうわたしに構わなくていいんだよって、言いたい。言いたいけど、多分声帯に傷が入っているせいで、ちっとも声なんか出ない。







わたしはもうすぐ、ただの肉塊――――――死体に、なるのに。

　

　



死ぬ時くらいは、みんな、こっちを見てくれているかな、他人に迷惑かけないで死にたかったなぁ、どうせなら誰かの前じゃなくて、任務で死にたかったよ、



どうしようもないことばかりが頭を駆け巡って、もう思考も覚束なくなっていく。遺言ってやつ、残してみたかったのに。あはは、





心では笑顔のはずなのに、ちっとも頬が緩まない、上がらない。代わりに、頬に冷たいなにかが、一筋伝った。


なんだろう、これ、




　
　

　

あぁ、もしかしてわたし―――――――――泣いてる？





　
　

はは、なんで泣いてるんだろう、くだらない、死ぬだけなのに、









そう思っても、涙はどうやら止まらないようで、拭いたかったけど、身体が動かないので無理だった。


やだな、こんだけやったのに、まだわたし、
　

　
　



しにたくないのかな。
　
　

　

　
　

　
　





　
しにたくない、もっとみんなと、いきていたい、



だって、禪院家にいたら経験出来ないことを、たくさんさせてもらった、

三重高専の、みんなが、いたから、




　


しにたくない、
　

　

　

　


まだ、もうすこしだけで、いいから、




　

　


　


いきたい、










なんてどれだけ願ったとしても、無理なものは無理なわけで。

死にたくない思いが強くなるのと反比例するかのように、意識はだんだんと遠のいていった。


もうほとんど、声も聞こえない。光も見えない。



みんな、わたしを、覚えていてくれるかな、
だってね、わたし、みんなのこと、
　


　

　


――――――――――――大好きだったの。

　

　






午後2時14分 禪院星来、臨終。

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