螂・荵区焔譴「 繧ィ繝ウ繝峨°繧牙暑莠コ繝サ遖ェ髯「譏滓擂縺ク ページ32
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これはなんだろう。
「お……おくの、て、さっ…………ぁ、ぁ」
声にならない声が掠れて漏れる。目の前の状況を、わたしはまだ把握できていないのだと知った。
真っ二つに引きちぎられた奥之手さんの身体が、静かに床に倒れていく。それだけの事なのに、やけに長い時間のように感じられた。
目の前の特級呪霊が、ひどく掠れた声で「ギヒヒヒッ」と笑う。
その笑い声は上層部によく似ていて、まるで吐き気がする。
奥之手さん、奥之手さん、奥之手さん。
心は掻き毟られたような気さえするのに、次の瞬間には不思議と、術式で特級呪霊を殺していた。
顔が歪んでいるのが分かる。周りの術師たちは死体を直に見たのは初めてなのか、ずっと嗚咽を漏らし続けている。
いや、違う。これは死体じゃない。死体なんかじゃない。
「奥の手、さ、、だいじょ、ぶ?」
大丈夫な訳がないのに、まともに思考が働かなかった。どうしてだろう、なんでだろう。
考えれば考えるほど分からなかった。彼女の身体の近くに寄って、手を握る。ひどく、冷たかった。
ありったけの呪力を込めて何度も反転術式をかけるのに、奥之手さんは全く、目を開いてくれない。
彼女は顔だけは何も汚れていなく、たぶん「綺麗な死に顔」と言うやつなのだろう。でも、そんなことは本気でどうでも良かった。
「奥之手さん………!目、覚まして、おきて、」
アイスを食べる奥之手さん。頬を膨らませる奥之手さん。甘えてくれる奥之手さん。
みんなみんな、過去になってしまう。
『星来ー……!あいす、食べよー……?』
『うん。何味がいい?いっぱいあるよ………!』
『わー……!すごーいー……!じゃあ、星来の食べたいやつがいいなー……』
『え、わたしの食べたいやつ……?』
『うんー……!だってー……』
にへへ、と奥之手さんが可愛らしく笑う。
『せっかく二人で食べるんだもんー………星来の好きな味、同じくらい好きになりたいー……!』
『!』
声が出ない。言われ慣れていないせいで、顔が赤くなるのが分かった。奥之手さんの無邪気な瞳と目が合う。やがて、わたしたちはふっ、と、同時に笑顔になった。
『………じゃあ………、』
「…………チョコアイス、また一緒に食べようね。"梢ちゃん"」
彼女は答えない。目も覚まさない。けれどどこからか、無邪気に頷く彼女の姿が見えたような気がした。
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星音(プロフ) - かくも。さん» Ifでも泣いちゃいますよ。なりチャでも死んでたら号泣ですね。ほんとifでよかった。はい、これからもよろしくお願いします! (1月2日 13時) (レス) id: ad93be62fc (このIDを非表示/違反報告)
かくも。(プロフ) - 星音さん» コメントありがとうございます。Ifとはいえ、一回書いてみたかったんですよね………そう言って頂けて嬉しいです、成りチャなどではまだ生きてますので、これからもよろしくお願い致します! (1月2日 12時) (レス) id: 447326c752 (このIDを非表示/違反報告)
星音(プロフ) - 星来ちゃんが、死んじゃった……。泣けない鈴の代わりに私が沢山泣いちゃいました (1月2日 10時) (レス) id: ad93be62fc (このIDを非表示/違反報告)
かくも。(プロフ) - jyudo0517さん» こちらこそありがとうございます……!奈穂ちゃんと星来には普通の女の子としていっぱい喋って頂きたかったので、いっぱい話してもらいました!笑 こちらこそ、これからもよろしくお願い致します! (12月29日 19時) (レス) id: 2246c6766d (このIDを非表示/違反報告)
jyudo0517(プロフ) - 奈穂が話してる………!(感動)ありがとうございます!!解釈一致です!!これからもよろしくお願いいたします!! (12月29日 19時) (レス) @page40 id: e508273c49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かくも。 | 作成日時:2023年11月4日 19時