└ ページ25
「なんや思い詰めた顔して―――なんかあったか？」
傘屋先輩のその声にいえ、と返し顔を上げる。
これだけ強力な術式なら、等級も高いだろう。一級か、準一。
「あの、傘屋先輩の等級を教えてもらえませんか？」
「…………へぇ。まだ傘欲しいんか？ぜんっち」
「………え、いえ、あの、」
まさかまた傘を……？流石に勘弁して欲しい。もう手持ちは空だ。
ニヤニヤと下世話な笑みを浮かべる傘屋先輩に焦って口を挟む。
「もう手持ちが空で…………これ以上はちょっと、勘弁してくれませんか」
「ふ〜ん？…………ま、ええわ。三本買ってくれたしな。勘弁してやる」
赤い傘をさしつつけらけらと笑う傘屋先輩は、わたしの手持ちがまだあれば更に傘を買わせてきたんじゃなかろうか。
いや、流石に………胸の内とはいえ、否定しきれないのが恐ろしい。金とは全く、人を駄目にする物だ。
「俺は準一級やで。ちなみに2年。傘屋クン優秀やから」
「………戦闘スタイルは？」
「はぁ？なんや食いつくな。そんな気になるか？」
「えぇ。任務や手合わせの時に参考にしたいので」
「ふぅ〜ん…………」
黒い瞳がわたしを探るように見る。不自然だったかもしれない、初対面で聞くのは変だった？と思い直しながら、嫌な汗が背中を伝うような気がした。
赤い傘がわたしを嘲笑うみたいに回る。不審に思われただろうか、と自分の行動を思い起こしてみた。
「…………ま、ええわ。基本は守備からのカウンターやな。俺は多対一のが得意やね。守備しつつ、スキ見て攻撃って感じ？」
「なるほど…………」
対人戦の方が得意なわたしとは正反対だ。確かに、撹乱攻撃守備なんでもござれなら、多対一は得意分野だろう。
「そんなん聞いて何になるか知らんけど、ま、役に立ったんならよかったな」
「…………はい。立ちましたよ、とても」
しかし全く彼は読めない。強いのはもちろんだが、今のところあまり何か問題を起こす感じには見えない。それすら罠かもしれないが。
まぁ、様子見か………程よく観察していかなければ。
頭の中に今のやりとりをインプットし、脳内ではもう既に上層部への報告の電話をかけ始めていた。
「(………ぜんっちかぁ。なんや面倒臭そうな後輩が来たもんやな。面倒事引っ張って来なきゃええけど………まぁ一応監視しておくか。俺のとこズカズカ入ってくるようなら、邪魔やし。)」
監視役・禪院星来から様子見・傘屋重音。あなたへ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 11人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
星音(プロフ) - かくも。さん» Ifでも泣いちゃいますよ｡なりチャでも死んでたら号泣ですね｡ほんとifでよかった｡はい､これからもよろしくお願いします！ (1月2日 13時) (
レス) id: ad93be62fc (このIDを非表示/違反報告)
かくも。(プロフ) - 星音さん» コメントありがとうございます。Ifとはいえ、一回書いてみたかったんですよね………そう言って頂けて嬉しいです、成りチャなどではまだ生きてますので、これからもよろしくお願い致します！ (1月2日 12時) (レス) id: 447326c752 (このIDを非表示/違反報告)
星音(プロフ) - 星来ちゃんが､死んじゃった……｡泣けない鈴の代わりに私が沢山泣いちゃいました (1月2日 10時) (レス) id: ad93be62fc (このIDを非表示/違反報告)
かくも。(プロフ) - jyudo0517さん» こちらこそありがとうございます……！奈穂ちゃんと星来には普通の女の子としていっぱい喋って頂きたかったので、いっぱい話してもらいました！笑 こちらこそ、これからもよろしくお願い致します！ (12月29日 19時) (レス) id: 2246c6766d (このIDを非表示/違反報告)
jyudo0517(プロフ) - 奈穂が話してる………！(感動)ありがとうございます！！解釈一致です！！これからもよろしくお願いいたします！！ (12月29日 19時) (レス) @page40 id: e508273c49 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かくも。 | 作成日時：2023年11月4日 19時
