禪院星来から様子見・『傘屋重音』へ ページ22
「らっしゃぁせぇ! らっしゃぁせぇ! 軽くて丈夫でお洒落な傘が沢山あるよ! これは買うしかないんじゃない?!」
…………わたしは今、何を見てるんだろうか。
何度瞬きをしてみても、目の前の状況が何一つ変わらなくて困る。むしろ何か変わってくれ、頼むから。頼むから目の前にある『傘屋重音の傘屋買わね?』が見間違いだと言ってくれ。店名早口言葉か。
手作りの看板まで丁寧に鎮座しており、そこには一面に傘、傘、傘。
確かに彼の言った通り色々な傘がある。呪具もかなりありそうだ。
…………ていうか、これは許可を取っているのだろうか?
と、思い立ったが吉日。すぐさま最新鋭の端末を取り出し、メッセージを送る。内容は『三重高専に突如傘屋。あれ許可済み?』だ。
するとものの1分程で上からの返信が返ってくる。『無許可。撤収ヨロ』……………
「あの、すみません」
「おーなになに!?どの傘買う!?呪具?普通の?派手なのから落ち着いたものまで揃い踏み!さぁさぁ買ってって!」
「いや………傘が欲しいのではなく」
「?じゃ、なんの用?」
「あの…………ここ、無許可でやってます……よね?」
「え?おん!!!」
すごい爽やかな笑顔で返された。いやダメなんだって。
その人は黒髪で黒目。顔は整っており、和装服に色とりどりの傘がよく映えていた。この傘はどうやら、この人の手作りらしい。
でもこれが見つかったら多分反省文とか書かされるだろうし………上も言ってた通り、無許可ならさすがに撤退させないと、色々とまずそうだ。
「無許可だったらダメですよ、ちゃんと高専の許可ないと、お金絡みは………」
「えー別によくね?俺規律とかって嫌いやし。高専の許可なんていらんやろ!」
「いえ、あの…………」
「さっ、傘買うっしょ?どんなのがええ?なんならオーダーメイドで作っちゃるけど!」
「…………」
ダメだ。ペースに呑まれる。このままいたら2、3本くらいは傘買ってしまいそうだマジで。
三重高専って、結構癖強めな人が多いよね………と心なしか遠い目になる。その間にも彼は傘について熱弁していた。
「でも……ばれたら結構ヤバいと思いますけど………いいんですか?」
「え?よゆーよゆー、バレへんって多分」
「…………まぁそれなら、いいんですが………」
「オイコラ、誰だ勝手に傘屋やってる奴!!!」
「うっわヤベ来た」
それから彼は問答無用で連行されていった。………。
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星音(プロフ) - かくも。さん» Ifでも泣いちゃいますよ。なりチャでも死んでたら号泣ですね。ほんとifでよかった。はい、これからもよろしくお願いします! (1月2日 13時) (レス) id: ad93be62fc (このIDを非表示/違反報告)
かくも。(プロフ) - 星音さん» コメントありがとうございます。Ifとはいえ、一回書いてみたかったんですよね………そう言って頂けて嬉しいです、成りチャなどではまだ生きてますので、これからもよろしくお願い致します! (1月2日 12時) (レス) id: 447326c752 (このIDを非表示/違反報告)
星音(プロフ) - 星来ちゃんが、死んじゃった……。泣けない鈴の代わりに私が沢山泣いちゃいました (1月2日 10時) (レス) id: ad93be62fc (このIDを非表示/違反報告)
かくも。(プロフ) - jyudo0517さん» こちらこそありがとうございます……!奈穂ちゃんと星来には普通の女の子としていっぱい喋って頂きたかったので、いっぱい話してもらいました!笑 こちらこそ、これからもよろしくお願い致します! (12月29日 19時) (レス) id: 2246c6766d (このIDを非表示/違反報告)
jyudo0517(プロフ) - 奈穂が話してる………!(感動)ありがとうございます!!解釈一致です!!これからもよろしくお願いいたします!! (12月29日 19時) (レス) @page40 id: e508273c49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かくも。 | 作成日時:2023年11月4日 19時