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「そっか。僕は
その心臓に悪い男の人は篠家先輩と言うらしい。彼は学生帽を触りながら、わたしに挨拶をしてくれた。
「四年生で一級〜!仲良くしてね〜」
「………っ!」
その言葉に、わたしは胸を跳ねさせる。
一級。この人も危険だ。要注意対象、いやそれ以上か。
等級が高ければ高いほど、暴走した際の制御が難しい。だからこの人にも、なるべくなら目を離さないようにしなければ。
改めて、篠家先輩に目を向ける。やはりにこにこと笑っていた。
ふわふわの黒髪は絹のように細やかで、手入れされているのがよく分かる。肌も白く、小さな童顔気味の顔がすらりと長い首に乗っていた。
しかしそれだけじゃない。どこか達観したような風体と掴みどころのない雰囲気が、彼には漂っていた。
「ん、どしたの?僕のことジロジロ見て」
「いえ………。ただ学生で一級って凄いなと思いまして……。精進のために、よろしければ術式を教えてくれませんか?」
「術式?星来ちゃん初対面でいきなり変なこと聞くね〜」
「!、………そうですか?」
「うん、変〜」
けらけらと篠家先輩が笑っている。やっぱり不自然過ぎたかな、と少し後悔した。
篠家先輩が学生帽を触り、位置を直す。彼の瞳の色はどんなだろうと、ふとそんなことを思った。
軽く弾みがちな口調は、掴みどころがなく真意を相手に感じさせない。やっぱりこの人は厄介だ、と改めて感じた。
「いいよ。教えたげる〜。僕の術式は十二支操術!文字通り、十二支を式神として操るよ〜」
「十二支を、式神として………」
「うん。見せてあげよっか?おいで、戌」
篠家先輩が宙に向かってそう言うと、どこからとこなく大型犬のような姿をした式神が現れた。血走った目が合って、わたしは戌から少し距離を取る。
「わー攻撃的。ごめんね〜呪力の消費激しいから少ししか出せないんだけど」
「いえ……。出してくれるだけでも充分です。成る程、こういうタイプか………」
篠家先輩が暴れる戌を押さえつける。戌は鋭い牙を見せてわたしに向かってドスの利いた大声で吠えかかって来た。
「あ〜コイツやっぱ暴れちゃうな。ったく、もうちょっと自制効いたらいいんだけど………」
篠家先輩はそう言いつつ、式神を消した。
彼はやっぱり厄介だ。強力な術式、等級………何より、その真意の分からない性格が。
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星音(プロフ) - かくも。さん» Ifでも泣いちゃいますよ。なりチャでも死んでたら号泣ですね。ほんとifでよかった。はい、これからもよろしくお願いします! (1月2日 13時) (レス) id: ad93be62fc (このIDを非表示/違反報告)
かくも。(プロフ) - 星音さん» コメントありがとうございます。Ifとはいえ、一回書いてみたかったんですよね………そう言って頂けて嬉しいです、成りチャなどではまだ生きてますので、これからもよろしくお願い致します! (1月2日 12時) (レス) id: 447326c752 (このIDを非表示/違反報告)
星音(プロフ) - 星来ちゃんが、死んじゃった……。泣けない鈴の代わりに私が沢山泣いちゃいました (1月2日 10時) (レス) id: ad93be62fc (このIDを非表示/違反報告)
かくも。(プロフ) - jyudo0517さん» こちらこそありがとうございます……!奈穂ちゃんと星来には普通の女の子としていっぱい喋って頂きたかったので、いっぱい話してもらいました!笑 こちらこそ、これからもよろしくお願い致します! (12月29日 19時) (レス) id: 2246c6766d (このIDを非表示/違反報告)
jyudo0517(プロフ) - 奈穂が話してる………!(感動)ありがとうございます!!解釈一致です!!これからもよろしくお願いいたします!! (12月29日 19時) (レス) @page40 id: e508273c49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かくも。 | 作成日時:2023年11月4日 19時