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鈴先輩は口元を緩めたきり、少しも表情を変えない。






「昔………呪霊の宿った石を…………間違って飲み込んだから………秘匿死刑囚に、なったの………」


「呪物を、飲み込んだ………?って、」



それはまるで、上層部が忌み嫌う東京校のあれと同じ事類じゃないか。


急速に、鈴先輩への要警戒度が高まっていく。この人は、危ない。




何より、本人に自覚がなさそうなのが危ない。呪物を飲み込んで平気だなんて、いくら呪術師でもありえないからだ。


この人からあまり目を離してはいけない、と、自分に言い聞かせた。




「星来………?大丈夫…………?」

「え、あ、あぁ、平気です。考え事を、少し」

「そっか………。ねぇ、もう寮に戻ったほうがいいんじゃない………?なんか、星来疲れてそうだし………」

「えっ、いや。そんなことは、」

「でも…………隈酷い………休みなよ…………」

「っ」



鈴先輩はわたしを心配している。これ以上断るのは、明らかに不自然だ。


しかし彼女はまだここで星を見続けるようだが、まぁ仕方ないだろう。静かに胸内で溜め息を吐く。



「………わかりました。すみませんが、先に帰らせて頂きますね」

「うん、そうしなよ…………。任務も多いし、今日はゆっくり休んで…………」

「………先輩も、あまり長居しないで、下さいね」

「?、うん…………?わかった…………」



その言葉が聞けて、ひとまず安心だ。彼女にまだ殺戮の意思はなさそうだから。


わたしは立ち上がる。「ばいばい………」と静かに手を振る鈴先輩に返してから、教室を出て疲労感とともに歩き始めた。











「本当に、綺麗……………って、天羅(てら)………急に出て、こないでよ…………」




「星が綺麗とは、人間とは不思議じゃのう………。いいじゃないか、たまには」


天羅と呼ばれた、少女の姿をした人物は、宙を彷徨いながら可愛らしく笑う。鈴は少しだけ息を吐いたが、すぐに窓辺に顔を戻した。



「………星来……、仲良く、なれるかな…………」


鈴がぽそりと、こぼしたように言った。天羅が鈴を見やるが、それには気付かない。


鈴の過去を知る天羅は、「そうだな」と同意したくなる気持ちをぐっとこらえて、重い口を開けた。





「………鈴、気をつけるんじゃぞ。あの星来という娘は、少し危ないかもしれん」


「…………?」






監視役・禪院星来から元秘匿死刑囚・禊萩鈴。あなたへ。

in. 三重高専 / 鈴 with.天羅→←└



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星音(プロフ) - かくも。さん» Ifでも泣いちゃいますよ。なりチャでも死んでたら号泣ですね。ほんとifでよかった。はい、これからもよろしくお願いします! (1月2日 13時) (レス) id: ad93be62fc (このIDを非表示/違反報告)
かくも。(プロフ) - 星音さん» コメントありがとうございます。Ifとはいえ、一回書いてみたかったんですよね………そう言って頂けて嬉しいです、成りチャなどではまだ生きてますので、これからもよろしくお願い致します! (1月2日 12時) (レス) id: 447326c752 (このIDを非表示/違反報告)
星音(プロフ) - 星来ちゃんが、死んじゃった……。泣けない鈴の代わりに私が沢山泣いちゃいました (1月2日 10時) (レス) id: ad93be62fc (このIDを非表示/違反報告)
かくも。(プロフ) - jyudo0517さん» こちらこそありがとうございます……!奈穂ちゃんと星来には普通の女の子としていっぱい喋って頂きたかったので、いっぱい話してもらいました!笑 こちらこそ、これからもよろしくお願い致します! (12月29日 19時) (レス) id: 2246c6766d (このIDを非表示/違反報告)
jyudo0517(プロフ) - 奈穂が話してる………!(感動)ありがとうございます!!解釈一致です!!これからもよろしくお願いいたします!! (12月29日 19時) (レス) @page40 id: e508273c49 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かくも。 | 作成日時:2023年11月4日 19時

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