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「………天使」





わたしのその呟きが聞こえてしまったのか、その小柄な女の子はゆっくりとこちらを振り向き、小さな頭と小さな口を動かしながら、言った。







「え、天使………?どこ……?」



目が合う。と思ったのも束の間、その女の子は本当に天使を探し始めてしまった。


「あぁ、いや。なんでもないです、忘れて下さい………」

「?そう、?天使なら、私も見たかったんだけどな………」


無表情で、その子は言う。


と、その時気付いたのだが、その女の子は手に何か持ちながら、わたしと喋っていた。


「あの、それは……?」

「………?これ……?大福だよ、食べる………?」

「大福……?いや、大丈夫です………」

「そう……?美味しいのに………」


無表情ながらも、少ししょんぼりとしたような雰囲気を見せたその子は、持っていた箱から一つ大福を取り出し、その小さな口で食べ始めた。



「美味しい………」


相変わらず表情は変わらないが、声に喜びが混じっている。今度は気のせいではなく、間違いなくそんな気がした。


「あの、ここで何を………?」

「何って………?星、見てたの…………」

「星?」

「うん…………。綺麗だよ、見る………?」


その女の子は星を見ていたという。わたしが見えるように、窓の端っこに寄ってくれた。



「………?」


わたしはその間から、空を覗き見る。



彼女は超能力でも使えるのだろうか。わたしはその時、本気でそう思った。

わたしが目を見開いた瞬間に、わたしの心を読み取ったかのようにその子は言う。



「ね?………綺麗でしょ………」



喉が震えた。何年ぶりだろう。こうして、純粋な気持ちで夜空を見上げることが出来たのは。



「………そうですね。本当に、綺麗」




そう言うことが精一杯だった。わたしは名前に星が入っているくせに、どれもこれも星の名前は分からなかったけど、そんなことはまるで些末なことだった。



そこに宇宙がある。美しいものがある。それだけで、いいと思えた。





「うん、そう………。ここの星、本当に綺麗なの………。暇な時、よく見てる………」

「そうなんですか?知らなかった………」

「だって、誰にも、言ってない………」



女の子はそう言った。わたしはここの星が綺麗だということも、この子がいつも星を見に来ていることも知らなかった。



さっきの疲れはどこへやら。わたしは気になってしまったのだ、この、不思議な女の子のことが。

└→←禪院星来から元秘匿死刑囚・『禊萩鈴』へ



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星音(プロフ) - かくも。さん» Ifでも泣いちゃいますよ。なりチャでも死んでたら号泣ですね。ほんとifでよかった。はい、これからもよろしくお願いします! (1月2日 13時) (レス) id: ad93be62fc (このIDを非表示/違反報告)
かくも。(プロフ) - 星音さん» コメントありがとうございます。Ifとはいえ、一回書いてみたかったんですよね………そう言って頂けて嬉しいです、成りチャなどではまだ生きてますので、これからもよろしくお願い致します! (1月2日 12時) (レス) id: 447326c752 (このIDを非表示/違反報告)
星音(プロフ) - 星来ちゃんが、死んじゃった……。泣けない鈴の代わりに私が沢山泣いちゃいました (1月2日 10時) (レス) id: ad93be62fc (このIDを非表示/違反報告)
かくも。(プロフ) - jyudo0517さん» こちらこそありがとうございます……!奈穂ちゃんと星来には普通の女の子としていっぱい喋って頂きたかったので、いっぱい話してもらいました!笑 こちらこそ、これからもよろしくお願い致します! (12月29日 19時) (レス) id: 2246c6766d (このIDを非表示/違反報告)
jyudo0517(プロフ) - 奈穂が話してる………!(感動)ありがとうございます!!解釈一致です!!これからもよろしくお願いいたします!! (12月29日 19時) (レス) @page40 id: e508273c49 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かくも。 | 作成日時:2023年11月4日 19時

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