何万回だって「＿＿＿＿。」 (ページ9)

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桃

保健室のベッドですやすや眠るともに、

目の前でコーヒーを淹れてくれる濵ちゃん。

俺は…濵ちゃんのコーヒー待ち。

1限目が始まるチャイムは少し前になっていて、

実質、サボり。

そんなサボりにコーヒーを淹れてくれる濵ちゃんは絶対アホ。

濵「砂糖はお好きなだけどうぞ。」

小「じゃあ1つ。」

濵「おぉ、大人やな～。」

濵ちゃんはふたっつ、なんてガキかよ。

ともは保健室に着くまでは頑張って起きててくれたけど、

ベッドに横にさせた瞬間寝落ちてしまった。

きっちり睡眠取る子やし、夜更かししたんが原因やろう。

濵ちゃんは、心が疲れてたんかもな、って言っとった。

俺には2限目は受けるように、とだけ。

小「なあ濵ちゃん。」

濵「ん？どした、」

小「神ちゃんな、また彼女と別れたんやって。」

濵「ほぇ～、やっぱモテるっつっても合う合わへんがあるもんなぁ。」

小「そんでな？めっちゃ悩んでんねん。俺余計なこと言った気がしてさ。」

濵「ん～…何言ったかは知らんけど、望が智洋に言うことで無駄は無いと思うけどな。」

幼馴染ってそんなもんや、って笑った濵ちゃん。

コーヒーの氷が、からん、と音を立てた。

コップにかいた汗が、コースターの色を濃くしていく。

からんころんと意味もなくストローで混ぜてみると、

濵ちゃんがまた笑った。今度はなんや。

濵「望まで不安になると、智洋まで不安になるんとちゃう？」

小「え…？」

濵「智洋のメンタルを支えられるんは、今は望しかおらへんのよ。」

ともの、メンタル。

ふわっふわで脆くて、儚いともの心。

泣き虫で、お姉ちゃんが大好きで、学校が嫌い。

いつでも、俺には相談してくれてた。

小「俺、がんばってみる。」