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緑
久しぶりに静かな夜。
電話もかかってこんし、鬱陶しい通知もこおへん。
イヤになって自分から振ったのに、どこか心寂しくて、
高校生にもなって、どうかと思うけど、気が付いたらお姉の部屋をノックしていた。
姉「智洋？」
神「おねえ…」
姉「…ええよ、おいで？」
桜色で統一された部屋の、綺麗に整えられたベッドに座り込んだ。
すぐそばにあったまんまるのぬいぐるみを手にして、
体もぬいぐるみごと小さく抱え込んで、顔を埋めた。
姉「ふふっ、息苦しくなるで？顔あげよ、ね？」
神「んぅ〜〜〜、」
何も言わずに、おれの横に座って、一緒になってタオルケットに包まる。
大きくないそれに2人が入るには、体をぴったりくっつけなあかんから、
お姉のあったかいのがじわじわ伝わってきて、泣きそうになる。
きゅ、と握ってくれた左手に、涙が溢れた。
神「ともっ、どおしたらええか、わからへんねん…っ、」
姉「そっか…。」
神「こわいねんっ、とも、みんながこわい…」
姉「怖いん？お姉は、こわい？」
神「んーんっ、こわくない、っ…」
そう言うと、体ごと、ぎゅっと抱きしめてくれた。
それだけで、また涙が止まらなくなって、しゃくりあげてしまう。
背中を優しく擦ってくれて、俺も抱きしめ返す。
姉「智洋はなーんも間違ってないよ。大丈夫。お姉がいつでも味方。」
神「んっ、」
姉「今日は一緒に寝よっか。」
数年ぶりに、お姉の部屋で一緒に寝た。
眠りに落ちる寸前まで、絶えず話し続けてくれて、
不安を感じることもなく、すんなり眠ることが出来た。
ぬいぐるみは、抱きしめたまま。
お姉の隣で寝た。
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作者名：桧央 | 作成日時：2021年4月5日 1時
