何万回だって「＿＿＿＿。」 (ページ15)

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赤

手元に残った退部届。

ぜーんぶ、うちのマネージャーや。

流星が注意をしてくれたらしいんやけど、やっぱり泣かせたみたいで

もう部活自体気まずいから辞めるってなったんやと。

んで、部長の流星に直接渡されへんから、俺に渡した、と…。

まーじで、流星の御付みたいな扱いすんなや。

重「…で？なんでまた泣かせたん。」

藤「ちゃう。勝手に泣いた。俺はなんもしてへんねんて。」

重「またそれやん！言い方強かったとかさ、あるやん！？」

藤「知らんて。女のこと、まじで理解出来ひん。」

むすっと腕を組んで、椅子にふんぞり返って座る流星は不機嫌もろ見え。

俺が流星の目の前に並べた退部届はとっくのとうに裏返して重ねられとった。

外ではサッカー部がいつも通り部活をしとる。俺らがいない以外はいつも通り。

夕日がさして、凹凸のある流星の顔に影が掛かった。

重「…なんで、そんなに女子のこと嫌ってるん？」

藤「嫌ってなんかないよ。…理解出来ひんだけ。」

重「理解出来ひんのはなんで？理解したろうとか、思わんの？」

藤「思わん。…あいつらみんな、顔面とスペック重視や。気持ち悪い。」

そういった流星の顔に掛かる影が、もっと暗くなった気がした。

揺らいだ瞳に、うっすら不安の色が見える。

重「…直したら？女嫌い。そんなんじゃ人生しんどいぞ？」

藤「シゲには分からんよ。俺の気持ち。」

重「っ…！分からんよ！やって俺流星やないもん！でもっ！」

でも、…？

重「流星のこと、大事やから…！」

ぽろり、と涙が一筋。

夕日によって、綺麗に光って机に落ちた。

それは、流星のやない。俺の涙やった。