何万回だって「＿＿＿＿。」 (ページ11)

今日:1 hit、昨日:6 hit、合計:31,634 hit

11. ページ11

桃

「小瀧くん、ごめんなさいっ！」

小「え、ちょ、俺なんかしました？…え？」

部活前のアップ中に、先輩マネにいきなり声を掛けられた。

何かと思えば、開口早々に謝罪の言葉。

「あの、お友達、小柄な…」

小「智洋っすか？」

「前から気になってて、別れたって聞いたから、告白して…」

小「っ！？…んで、ともは、」

「走って、逃げられちゃった。ほんっまにごめんなさいっ！」

話を聞けば、話は想像以上のもので、手にしていたボールを落とした。

今、ともはどこで何をしているんやろうか。

朝に濵ちゃんとあんな話をしたばっかやのに。

焦ってしまって、脂汗が滲むのが分かった。

他の先輩方も、俺の様子を見てかざわつき始めた。

きっと、あわあわと息が漏れるだけを口を動かしている俺は滑稽だ。

藤「小瀧？…おい、小瀧。」

重「小瀧ぃ？大丈夫か～、」

藤「ちょっと、お前らこっちこい。シゲ、小瀧頼んだわ。休ませてやって。」

重「了解。…小瀧、濵ちゃんのとこ行こか。歩けるか？」

頭の中はぐっちゃぐちゃ。

重岡先輩に腕を引かれて、体を支えてもらいながら保健室へ向かった。

道中、重岡先輩はずっと何かの話をしてくれたけど、

正直ひとつも頭まで届くことは無かった。

重「濵ちゃんおる～？」

濵「おるで～。お、望やん。…智洋か？」

小「…っとも、！ともは！？来てる！？」

重「おわ、ちょっ！」

先輩からばっと勢いよく離れ、濵ちゃんにしがみつく勢いで飛びついた。

肩を持たれて、しっかり目が合うまで、濵ちゃんは口を開かない。

濵「大丈夫。ちゃんとここまで来てくれた。今は休んどる。」

小「やす、…」

濵「そう。休んどんねん。望も、休む。ええか？」

重岡先輩には部活を休む、と濵ちゃんから伝えてもらって、

ともの寝るベッドまで連れて行ってもらった。