道化師と少女 (ページ5)

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3日目~後半~ ページ5

「…貴方は足を失った事で、申し上げ難いのですがあのサーカスから退団させられたんです。なので、これを貴方に渡して欲しいと団長さんから…」

Aの父親の手には俺の退団を告げる紙切れと、少量の金貨が握られていた。

＿＿俺はこれからどうやって生きていくんだ…？
頭の中が真っ白になっていくのが分かる。
その時、思いつめた様な顔をしていたAの父親が苦虫を噛み潰したような表情で語り始めた。

「そこでです…！私は…実は…この様に至極普通の診療所の医者であると同時に…闇医者でもあるのです。普通の理由で怪我をした訳でない人の治療も行なっています。」

確かにその事実には驚いたが、だからなんだという顔を俺がしていると、さらにAの父親は語り始めた。

「ここの近くの森に"荘園"という場所があります。そこでは多額の賞金を掛けた命懸けのゲームが行われています。そこで怪我をした人でよくこの診療所には運ばれて来るんです。その荘園の主がハンター…怪我を負わせる側の人員が不足していると私に申してきましてね、要するに」

＿＿貴方にその仕事をして欲しいのです。

その話を聞いて最初は意味が分からなかった。その後もAの父親は今よりもお金を稼ぐ事が出来るとか、ハンターは怪我をすることはないなど言っていたがあまり覚えてはいない。

人を傷つける仕事？賞金を掛けたゲーム？そんなのに俺は関わりたく無かった。
…だが、やらなきゃ待っているのは死だけだ。

「恩人ｻﾏの頼みなら断る訳には行かねぇ…その仕事、引き受けるよ。」

Aの父親は安心したような、少し悲しそうな難しい顔をしながら「ありがとう」と言った。