道化師と少女 (ページ14)

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朝焼けⅡ～end～ページ14

この出来事は全て茶番だった。その事実に俺が呆然としていると東久邇は木から飛び降りてAの方へ歩み寄っていった。

『やぁ、君がAちゃんだね！やっぱりすごく可愛い顔してるね～本当は荘園に来て欲しかったんだけど…ここでジョーカー君に会えたからいっか！！まぁそろそろ夜も明けるからお家に帰った方がいいかもね。』

その言葉を聞いたAが朝日の方を見やるのを見て、俺はようやく本来の目的を思い出した。

「行くぞA…親父さん心配させちゃならねぇからな。」

俺がそう言うとAは素直に頷き俺の手を握る。
背後でニヤニヤしてる東久邇を睨みつけると俺はAを連れて町へ歩き出した。

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「ねぇジョーカー、ほんとに戻っちゃうの？」

「あぁ、あそこは俺の居場所だからな。」

Aの家の前まで着くとAはそんな事を聞いてきた。"あそこは俺の居場所"それはその質問に対する最もな答えだった。

「そっか…」

そう言うとAは長いまつ毛を伏せ気味に俯く。
＿＿そんな悲しそうな顔をしないで欲しい。
そう思った俺は、

「また遊びに来るからよ。…だから森には近づくな。ああいう危ないヤツもいるからよ。」

「…うん！！」

そう言うとAはパッと笑顔になり元気よく頷いた。その顔を見て安心した俺は、

「じゃあな…」

「うん、またねー！！」

と手を振るAを背に荘園に歩き出した。

この約束が守れるかどうかは分からない。
だが出来るだけ守りたい。
この約束がある事で俺は完全な化け物ではなく人のままでいられる。そんな気がしたから。