道化師と少女 (ページ12)

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濃霧の小夜曲Ⅲ ページ12

着物のお姉さんと別れ地図を頼りに荘園を目指す。

＿＿それにしてもこの2つのマルは誰なんだろう？
お姉さんを表していた印はさっきふと消えてしまい、今地図上にあるのは私とその2つのマルになっていた。

2つとも私より速い動きで動いている。…走っているのだろうか？でもその印の動きには明らかに特徴があり、

1つはこの霧に明らかに慣れていないようだ。同じ所を行ったり来たりしている。
もう1つは反対にこの霧に慣れているのかまるで散歩でもしているかの様に無駄なくこの森を動き回っている。

＿＿それにしても、この霧まとわりついてくるみたいで怖い…この霧に慣れているような人の所に行くのもちょっと不安だな…

私はもう1つの印が示す人の所へ向かった。またあのお姉さんの様な荘園について知っている人に会えるかもしれないと思ったからだ。

☆。.:＊・゜☆。.:＊・゜☆。.:＊・゜☆。.:＊・゜
それからしばらく歩いて、霧がなければその人が見えるあたりまで近ずいた頃声が聞こえた。

「＿＿＿＿＿！！」

「＿＿＿＿…！！」

「＿＿＿＿A！！」

その声を聞いて確信した。ずっと会いたかった彼の声だ。思わずその声の方へ駆け出す。

「っ！ジョーカー！！」

その勢いのまま彼に飛びついた。懐かしい彼の体格と匂いがさらにその確信を強める。

「うお！？…あぁAか！！無事か！？どこも怪我してないか！？アイツに見つかってないか！？」

「え、えぇ私は平気よ？」

矢継ぎ早に質問されて少し戸惑った。でも気になったのが、

「ねぇ、ジョーカー…アイツって誰？」

「会ってないならよかった…さぁ早く帰るぞ。お前が元気そうで安心したぜ。」

ジョーカーが私の手を引いて町の方へ向かおうとした時、ゾッとするような寒気を感じとっさに振り向く。

「やっと見つけましたよ…A」

そこにはまるで死神の様な…無機質な仮面を被った"ヒト"がいた。

「チッ…めんどくせぇ事になったな。」

「ジョーカー君…彼女をこちらに渡して頂けますか？」

「誰が渡すかよ…！！」

仮面のヒトがその爪をこちらに向け、ジョーカーもそのヒトを睨みつけながら武器を構える。

＿＿2人の地面を蹴る音が森に響いた。