道化師と少女 (ページ1)

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1日目ページ1

今日からとある森の近くの田舎町での公演が始まる。俺はこのサーカスで道化師をしている。

得意技はロケットを使った高速綱渡りだ。観客達のハラハラしている事が伝わってくる目線と悲鳴が俺は大好きだ。

「ジョーカー、そろそろ出番だぞ。」

と、不意に仲間の声が聞こえた。

「あぁ、今行く。」

＿＿さて、今日も観客達をビビらせて来るかな。
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言うまでもなく、今日もショーは大成功だった。

ショーの後楽屋で観客達の悲鳴を思い出していると、ノックの後にそこそこに身なりの整った活発そうな女の子が父親らしき人物と共に入ってきた。

「いきなり押しかけてすみません…この子がどうしても貴方に会いたいと言うものですから団長さんに無理を言って通してもらいまs…」

「貴方のショー凄かったわ！火の輪を潜るライオンさんも、空中ブランコのお姉さんも素敵だったけど貴方の綱渡りが1番ドキドキしたわ！素敵な物を見せてくれてありがとう！！」

父親の話を遮ってそう一気にその少女はまくし立てた。

「ありがとうな。道化にとっちゃ1番の褒め言葉だぜ。良かったら明日も見に来てくれな。」

「えぇ、もちろん！私Aって言うの。貴方は？」

「俺はジョーカーってぇんだ。明日も楽しみにしててくれよな。」

「えぇ、楽しみにしてるわ！明日も頑張ってねジョーカー。」

そう言うとAはじゃあねと言って部屋を後にした。Aの父親は俺に向かって一礼した後Aを追って部屋を出て行った。

＿＿A…か。笑顔が眩しくって、すごく…可愛かったな。って何考えてんだ俺は。

そんな考えを振り払うかのように頭を左右に振ってから俺は明日のショーの為の準備を始めた。

明日も聞けるであろう観客達の悲鳴と、少しだけ、そう。ほんの少しだけAの事を考えながら。