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決勝当日の朝。
Aはランニングを終え、グラウンドのベンチへ座る。
稲城実業。因縁の相手。
沢村「Aさん！おはようございま...！？」
沢村はAの見たことない表情にビクッと肩を揺らす。
そしてそんな沢村の肩にポンっと手が置かれる。
クリス「少し一人にしてやってくれないか」
沢村「クリス先輩」
クリス「Aがこの時間に起きてるなんてな」
沢村「...」
クリス「緊張してるんだろうな」
沢村「緊張！？」
クリス「ミーティングでも言っていたが、たしかに去年
Aは打たれた」
クリス「しかも決め球の3段ドロップ。決して悪い球じゃなかった」
クリス「別にAのせいじゃないのにあいつは全部背負い込んだよ」
沢村は自分より一回り以上小さいAの小さな背中を見つめる。
いつだって自信家の彼女にそんな過去があったとは..と。
クリス「あいつは幾度となく壁を乗り越えてきた」
沢村「Aさん…」
クリス「だからこそもう負けない」
クリスはフッと口元を緩めAの背中を見る。
沢村はクリスの顔を見てから再びAの方を見る。
A「あ、クリス先輩！と沢村くんも」
沢村「人をついでみたいに！」
A「そ、そんなことないよ？笑」
沢村「なッ！！」
Aは沢村とクリスの方へ歩いてくる。
その表情は先程と違い穏やかだ。
クリス「A」
クリス「頼むぞ」
A「任せてください！」
沢村「ちょッ！クリス先輩！俺には！?」
クリス「...」
沢村「沢村くんどんまい笑」
沢村「ぐッ！！！」
クリス「期待してるぞ」
クリスはフッと笑い沢村の反応を楽しんでいるようだ。
その様子にAも思わず楽しそうな顔をする。
沢村「クリス先輩が俺に期待...」
A「私もしてるよ？」
感動している沢村の横でAは言う。
沢村「え？」
A「調子がいい時の沢村くんのこと」
沢村「ちょっと！Aさん！すべてを台無しにするようなこと言わないで下さい！」
A「だって、沢村くん調子に乗るでしょ？」
沢村「Aさんも乗りますよね！？」
A「私はいつでも冷静よ？」
いつものAの冷静さが戻ってきた
元気のいい投手2人を見てクリスは安心した表情をする。
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作者名：瀬戸琉依 | 作成日時：2023年8月20日 17時
