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決勝前の最後の練習、ミーティングを終え選手たちは各々分かれる。
Aは食堂からしれっと出ていき外の階段に座って空を見上げる。
A(星。綺麗だな…)
目を閉じるとあの時の記憶が鮮明に浮かび上がる。
綺麗に打たれた球。
いつだって自信家で強気な心を持っていた自分が初めて
折れた瞬間。
自分のせいだと泣いた日々。
その後誰よりも強くなりたいと願い体がついていかず肩を故障。
Aにとって明日の試合はとても重要だ。
亮介「...ちょっと緊張してる?」
Aは目をゆっくりと開け隣に座る彼を見る。
A「ちょっとだけ。亮さん。今だけ、亮介に…亮ちゃん戻ってくれない?」
亮介「いいよ。A」
A「ありがとう。」ニコッ
亮介「お前なら大丈夫だよ。」
A「そうかな…」
亮介「俺が言ってやってるんだ。信じろよ」
A「確かに。亮ちゃんが言うなら大丈夫な気が来てきたよ」
Aは少し口元を緩める。
すると亮介はAの手をぎゅっと握る。
亮介「明日のこの時間にはすべてが決まってるんだ」
亮介「勝てば甲子園。負ければ引退」
A「まだ亮ちゃんを引退なんかさせないよ」
Aは直剣な表情で亮介を見つめる。
その表情を見て亮介はフッと笑いAの頭めがけてチョップをする。
亮介「当然だろ」
A「痛いっ!」
亮介「勝って甲子園に行こうな」
A「うん!」
亮介「早く寝ろよ。A」
A「分かりましたよ!亮さん!」
亮介と別れた後Aはまだ落ち着かずグラウンドの方へ
歩いていく。
<高々と上がったー!小湊が打たれました!!>
<延長10回裏 稲城実業勝ち越しー!!>
脳内再生が続く。
一種のトラウマに少し手が震える。
A「大丈夫。私は強くなってる」
震える手をぎゅっと握りAは前を見る。
一也「A」
A「一也。」
一也「部屋行ってもいねーから探したぜ」
A「なんか。落ち着かなくて笑」
一也「あの日の事思い出してたのか?」
A「うん。そうだよ」
一也「大丈夫だよ。お前は強くなってる」
A「うん。大丈夫。もう、怖くないよ」
一也「..たしかに。心配無さそうだな」
Aはニィっと笑い一也を見る。
一也「帰るぞ」
A「うん!」
Aは勢いよく御幸の背中に飛びつくと御幸もすぐ受け入れる。
A「お部屋まで連れてって♡」
一也「お嬢様元気ですなー」
A「ヒヒッ!明日も頼んだよ!一也!」
一也「んツ。頼んだぜ、相棒」
A「うん!」
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作者名:瀬戸琉依 | 作成日時:2023年8月20日 17時