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A「ん、ぅ……はっ、ゲホッゴホゲホッ!」
晴香は後ろから抱きかかえるようにしてAの身体を支え、胸の上に手のひらを置いた。
バクバクと速く忙しい脈が伝わってくる。これ以上激しく呼吸したら壊れてしまうのではないかと思わせるほど、華奢な骨格。
晴香「どうしよう…ネブライザーがない。」
浩介「晴香ちゃん!」
晴香「浩介先生!Aが!Aが!!」
浩介「泣いて呼吸が乱れたのかな?」
晴香「うん。ネブライザーが近くにないの」
浩介「大丈夫。俺に任せて」
浩介「A。息が速いから、胸がしんどいだけだよ。俺に合わせてゆっくりに戻していこうか。焦らなくていいからね」
吐いて、吸って。
胸の上に置いた手のひらでゆったりとリズムを刻む。
A「ぃや、…っ、苦しいっゴホッ...ヴ...ゲホッゴホッゴホッ...」
浩介「大丈夫だよ。Aちゃん。俺がついてるからね」
吐いて、吸って、また吐いて。
A「はっはっ。はぁー。はぁー。」
呼吸はだんだん落ち着いてきてAは疲れて意識を飛ばした
晴香「A大丈夫?」
浩介「悔しいのに自分のせいだって責任で泣かないようにしてたけど晴香ちゃんが怒って泣かせてくれたから」
晴香「でも。泣かせちゃったせいでAが…」
浩介「あそこで泣かなかったらストレスになって熱出すところだったからね。笑」
浩介「晴香ちゃん。Aちゃん青道の方に連れていこうと思うんだけど一緒に来る?」
晴香「うん。」
浩介「一也くん。久しぶりだね」
一也「浩介先生。っ!A!!」
浩介「大丈夫だよ。晴香ちゃんと一緒にいて泣いて過呼吸になって眠ってるだけだから」
晴香「一也。ごめん。私が…」
一也「A。なんて言ってた?」
晴香「え?」
一也「正直に答えろ」
晴香「A。青道のみんなの前で泣いてないって言ってたからなんでか聞いたの。」
晴香「そしたらA。私に泣く資格なんてない。私が痛みを我慢できなかったせいで負けたし、1年生にも辛い思いさせちゃったって。」
純「こいつ。お前のせいになんてできねぇっつうの」
哲「ああ。Aはよく戦い抜いてくれたよ」
亮介「骨折までして投げようとしてたんだ。攻めようがないよ」
丹波「でもいつ骨折したんだろうな…」
晴香「Aが起きたら聞いてあげてくださいよ」
青道「ああ。」
晴香「では。私はこれで」
一也「あ、晴香!」
晴香「ん?」
一也「てっぺんとってこいよ。」
晴香「それ。Aにも言われた!任せて」✌️
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作者名:瀬戸琉依 | 作成日時:2023年8月20日 17時