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その日の夜Aはご飯を食べずに室内練習場に行こうとした。

一也「A。今日投げるか?」

A「今日は投げないよ?」

一也「部屋行くのか?」

A「んーや?ないしょ〜♡」

A「ご飯食べておいでよ!」

一也「Aもだろ」

A「私は用事が済んだら食べるから先に食べてて!」

一也「絶対来いよ」

A「りょーかいっ!」

哲「御幸。Aから目を離すなよ。」

一也「それ丹波さんにも言われました。なるべく見るようにはしてますよ。」

哲「それならいい。」

室内練習場

A「んーーー!!スイーパーって難しい!スポ抜けちゃう」

Aはネットに向かってスイーパーを投げる。投げたボールはストライクゾーンから大きく外れて大暴投

A「これはキャッチャー可哀想だな。」

メジャーで最近使われ始めたスイーパーを投げてみるが未完成すぎて笑えてくる。

A「なんでこんなにスポ抜けるの!!?」

投げ込んで何とか形にはなるものの、慣れないフォームにより、指先に力が入る。
肩で息をしながらスマホで撮った動画を見返す。

A「やっぱり指先だよな。」

何度も何度も諦めずに投げ込む。

A「!!?これだ!!」

片岡「A。」

A「!!!!!!!!???」

片岡「何をしている」

A「今日試合中投げてなかったんで、投げようかと…」

片岡「今何時だと思ってる」

A「さっき時計見た時が7時前だったんで、8時とか?」

片岡「もう11時を回っている」

A「え!?ほんとだ。」

片岡「はぁ。今のはスイーパーか?」

A「はい。使えるようになると思います?」

片岡「スポ抜けが気になるな。ボールの外側を押し出してみろ」

言われた通り意識して投げる。

A「!!?」

ボールは綺麗にバックスピンがかかりストライクから真横に大きく曲がった。

片岡「少しは様になったな。」

A「この感覚を忘れないように。」

片岡「ここまでだ。」

A「なんで!!?」

片岡「明日はお前も登板するんだ。肩を休ませとけ。」

A「あと5球だけでも!」

片岡「今までトレーニングしてきたことを全部無駄にするのか?」

A「い、いえ。今日は終わります。」

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作者名:Aqua | 作成日時:2023年6月10日 15時

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