綺麗がきゅうじゅう、むっつ ページ48
門出を祝う桜を背に、2人は歩く。そんな時ふと佐久早は聞いてみた。まだAが在学中の頃、彼女の志望大学を調べた時からずっと気になっていた事を。
「あの大学、バレーの名門だし」
『……うん、そうだね。でも私のやりたい事があったのも事実だし、それ目的で入った訳じゃない』
しかし強豪である事は知っていた。言いはしなかったが。
「俺があの大学からスカウト来るのも知ってましたよね」
『知ってました……。あぁでも、私は本当に佐久早くんの行きたい所に行けばいいと思ってたよ。それは本心。私の利己的な考えで佐久早の将来なんて決めちゃ駄目だし、佐久早くんに一番良い環境でバレーして欲しいと思ってたから』
佐久早の人生を縛りたくないというのは本心だった。今でも自分には勿体無い程の人間であると思うからこそ、佐久早には多くの選択肢を持っていて欲しかったのだ。好きに選び、好きに生きて欲しい。
その裏で、離したくないと思ってしまった。たった1人にここまで執着するのかと呆れる程、Aは佐久早が欲しかった。一緒に居たい。隣で話して、笑って、安心したい。近くでなければ嫌なのだと、思ってしまった。
「俺の事考えてくれたのは嬉しいです。……でも、言って欲しかった」
『……！』
「たまには、言ってもいいと思います。俺だってあんたが欲しい。お互い様じゃ…ないんですか」
『……そう、だね。お互い様か……うん。お互い様だね』
吹っ切れたようにAは笑う。その柔らかな笑顔に、自然と佐久早の頬も緩んだ。
しばらく歩いてとある駐車場まで来ると、Aは隣を見上げて、きょとんとする佐久早に、ちょっとしたイタズラが成功したかのようにはにかむ。佐久早は内心可愛いと思いつつも、現状の説明を求めるようにAを見た。
『大学入ってから免許取ったんだよね』
「！あぁ……車」
『家族以外で最初に乗せるなら佐久早くんだと思って……だから、ちょっとドライブしない？』
「……」
『佐久早くん？』
「……も」
『え？』
「俺も、一番にAさんの事乗せます。春休みには、免許取るんで。それまで待っててください」
あまりにも真剣に言うものだから、何故か愛の告白をされている気がして耳が熱くなる。しかし佐久早の"特別"を予約出来たと実感し、Aは微笑みながら頷いた。
『うん、待ってる』
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すみた先生(プロフ) - 魅亜羅さん» コメントありがとうございます！ちょっとずつ進めていこうかなと思っていますので、気長に待っていただけると有難いです🙏絶対完結させます！ (12月1日 21時) (
レス) id: 547ebe12b8 (このIDを非表示/違反報告)
魅亜羅(プロフ) - 佐久早の恋愛のお話好きで、とても引き込まれる作品です！更新楽しみに待ってます！ (12月1日 1時) (レス) id: 5c7231855f (このIDを非表示/違反報告)
すみた先生(プロフ) - モモさん» コメントありがとうございます！！気まぐれ更新でホント申し訳ありませんが、頑張ります！！ (2023年1月13日 22時) (レス) id: 547ebe12b8 (このIDを非表示/違反報告)
モモ - この話、めちゃくちゃ好きです！続きが気になりすぎるっっ。楽しみにしています！！ (2023年1月12日 21時) (レス) @page34 id: 759a61aa3f (このIDを非表示/違反報告)
雪音くん。 - すみた先生さん» 「大人編も見たい」って意見しかないですもんね笑私としても嬉しいです(*´ω｀) (2022年5月7日 21時) (レス) id: 07fdfe6512 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すみた先生 | 作成日時：2022年1月15日 19時
