綺麗がななじゅう、ななつ ページ29
端山さんが居るかは、半分くらい賭けだった。静かな場所を好むとは言え、夏休み中ずっと図書室に来てるとは限らない。メールしても良かったんだろうけど、何となく躊躇ってしまった。
飯綱さんが言った。"お前の一番したい事が正解"という言葉。何が端山さんにとっての正解なのか分からなかった俺は、その言葉に一先ず、俺自身が端山さんとしたい事を考えてみた。
あの人と話がしたい。どんな内容でも構わない。端山さんの話が、声が聞きたい。俺の話を、声を聞いて欲しい。
まあ、まさかこんな内容だとは思わなかったけど。
『小さい時に、事故で亡くなった。実家に顔出しに行った帰り、玉突き事故があって、それで。
……私さ、佐久早くんには隠し事っていうか、そういうのはしたくないの。もし誤解されたら、それを解く自信がないから』
"私の話、聞いてくれるかな"
と、端山さんは少し申し訳無さそうに俺を見た。脈絡はよく分からないが、何を申し訳なく思う事があるだろう。どんな話だって、あんたが言うなら聞きたいのに。
ストレートには言えなかったから、そういう思いも込めて首を縦に振った。
『私がこういう風になったのは、その事故が原因だったりする。昔は、泥まみれになって遊んだ事だってあった。けど、事故で潰れた車の写真を見たら……お父さんが汚い中で死んだのが許せなかった』
そんな辛い事、わざわざ思い返さなくても……と思ったが、彼女が話すと決めた事だし、今の様子を見る限り大方は割り切っているようだったから、口には出さなかった。
ただ、クーラーのように涼しい声に耳を預けた。
『私のお父さんは、佐久早くんに似てるんだ』
「…！」
『物静かで、綺麗好きで、私の知らない事を何でも教えてくれる、優しい人。最初は、ただ似てるから気になってただけかもしれない。……でも、
佐久早くんにしか無いものを見つけると、ちょっと嬉しかったんだよね』
小さく笑った端山さん。……かわいい
『私一人っ子だし、友達なんて掌しか居なかったから、誰かに興味を持つのが楽しかった』
そうか、昔からこの人の隣には飯綱さんが居たんだ。ずっと、守って来たんだ。絶対にこの人が独りにならないように。
『佐久早くんは、兄弟とか居る？』
「姉と兄が居ます。どっちも大学行ってて、家では俺一人ですけど」
『じゃあ末っ子か…納得かも』
守りたいという思いは、自然と芽生えた。
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すみた先生(プロフ) - 魅亜羅さん» コメントありがとうございます！ちょっとずつ進めていこうかなと思っていますので、気長に待っていただけると有難いです🙏絶対完結させます！ (12月1日 21時) (
レス) id: 547ebe12b8 (このIDを非表示/違反報告)
魅亜羅(プロフ) - 佐久早の恋愛のお話好きで、とても引き込まれる作品です！更新楽しみに待ってます！ (12月1日 1時) (レス) id: 5c7231855f (このIDを非表示/違反報告)
すみた先生(プロフ) - モモさん» コメントありがとうございます！！気まぐれ更新でホント申し訳ありませんが、頑張ります！！ (2023年1月13日 22時) (レス) id: 547ebe12b8 (このIDを非表示/違反報告)
モモ - この話、めちゃくちゃ好きです！続きが気になりすぎるっっ。楽しみにしています！！ (2023年1月12日 21時) (レス) @page34 id: 759a61aa3f (このIDを非表示/違反報告)
雪音くん。 - すみた先生さん» 「大人編も見たい」って意見しかないですもんね笑私としても嬉しいです(*´ω｀) (2022年5月7日 21時) (レス) id: 07fdfe6512 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すみた先生 | 作成日時：2022年1月15日 19時
