綺麗がろくじゅう、ななつ ページ18
逃げても逃げても、追いかけっこが終わる事は無い。走れば走るだけ、俺は自分の首を絞め続ける事になる。
これを終わらせるためには、ただ足を止めて、振り返ればいい。向き合って、考えて、答えを出さなきゃいけない。
「今まで避けたりしてすみませんでした。その理由を言いに来ました」
『っ……』
どんな試合も、バレーも、いつ終わってもいいように常に完璧を求めてきた。勝ちも過程、負けも過程。バレーの勝利も敗北も、俺の人生を変える訳じゃない。勝てたら気持ちいい、ただそれだけ。
でも、ここだけは絶対に勝ちたいと思った。どんな結果も有り得るこの勝負で、俺の命運を握ってるのは俺じゃなく、端山さんだ。彼女からの勝利以外は要らない。
「っ……好きです。付き合って、欲しいです…」
この勝負に勝つためだったら、今までの俺を否定したっていい。こんなのお前らしくないと揶揄われても、嘘をつかないと決めた。この人から逃げたくない。
汗が酷くて、手は握りすぎて感覚が無い。視線が下がってきた。背中も丸まってきた気がする。
これは、恐怖だ。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
酷く驚いた顔で佐久早を見上げるA。小さく漏れたのは、声かどうかも怪しいほど掠れたものだった。驚きで体が固まってしまったのだ。
その時、まだ諦めまいと佐久早が声を出す。
「……本当は、端山さんに勉強教えて欲しいです。全然大丈夫じゃないです。……俺は、飯綱さんみたいには、なれないけど…端山さんの、居場所になりたいです。俺も……あんたの隣が、一番落ち着くから……」
『ぁ……っ、！』
じわり、目頭が熱くなって視界がぼやけた。息の仕方を忘れてしまったように、マスクの下で口をパクパクさせ、痛いくらいの胸に手を震わせた。
自信なさげに、少し伏せた目でちらりとAを見た佐久早。すぐに目を見開いて、顔を上げる。顔を赤くして涙を流すAに、言いようのない感情を抱いた。
すると、絞り出したような声が佐久早の耳に届いた。
『わ、たしも……っ、佐久早くんが…好き……！』
心の底からこの想いを伝えるには、どんな言葉を使えばいいのかと、熱くなる頭で2人は考えた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 336人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
すみた先生(プロフ) - 魅亜羅さん» コメントありがとうございます！ちょっとずつ進めていこうかなと思っていますので、気長に待っていただけると有難いです🙏絶対完結させます！ (12月1日 21時) (
レス) id: 547ebe12b8 (このIDを非表示/違反報告)
魅亜羅(プロフ) - 佐久早の恋愛のお話好きで、とても引き込まれる作品です！更新楽しみに待ってます！ (12月1日 1時) (レス) id: 5c7231855f (このIDを非表示/違反報告)
すみた先生(プロフ) - モモさん» コメントありがとうございます！！気まぐれ更新でホント申し訳ありませんが、頑張ります！！ (2023年1月13日 22時) (レス) id: 547ebe12b8 (このIDを非表示/違反報告)
モモ - この話、めちゃくちゃ好きです！続きが気になりすぎるっっ。楽しみにしています！！ (2023年1月12日 21時) (レス) @page34 id: 759a61aa3f (このIDを非表示/違反報告)
雪音くん。 - すみた先生さん» 「大人編も見たい」って意見しかないですもんね笑私としても嬉しいです(*´ω｀) (2022年5月7日 21時) (レス) id: 07fdfe6512 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：すみた先生 | 作成日時：2022年1月15日 19時
