綺麗がろくじゅう、ひとつ ページ12
かくしてインターハイ1日目。私が行くと言うと、掌は目を丸くして驚いた。でも嬉しいようで、絶対勝つからな！と宣言して会場に向かって行った。
いつもより念入りに身だしなみを整え、ハンカチとポケットティッシュ、マスクの予備を3枚バッグに入れて家を出る。会場まで1人で行けるか不安な所はあるけど、何がなんでも行かなきゃいけない気がした。意地でも辿り着いてやる、静かに闘志を燃やしながら電車に乗り込んだ。一番人が居ない所を見つけ、やっとの思いで腰を下ろす。
競技場は人で溢れていた。選手やその応援団、あとは観客が大勢。電車でもう疲れているというのだから、この光景を見た私はため息を抑えられなかった。
マスクの鼻の部分の針金をもう一度キュッと摘んで、とりあえず出入口が空くまで自販機の近くで時間を潰す事にした。
どうせ開会式は見なくてもいいし、井闥山が出る試合だけ見れればそれでいい。イヤホンをして、バレー動画を観ていると、人が空いてくる時間は割とすぐにやってきた。
タイミングを見計らって会場内に入る。それでも中は人が掃いて捨てるほど居て、顔を顰めたのが自分でも分かった。
「A〜！」
『！』
「やっぱドンピシャだな。入ってくるなら今だと思った」
『開会式は？』
「さっき終わった。あと20分くらいしたら1試合目始まるって。あ、これパンフレットな」
手に持っていたものを差し出した掌。受け取って中をパラパラと眺める。
『……シードか』
「そ！だから俺ら出んのは午後な。俺らはこれから区立体育館で練習。だから……なんだ、その……来てもらって悪いけど」
気まずそうに頭を搔く掌に、私は冷静に返す。
『別にいい。試合眺めてれば時間なんてすぐに経つ』
「そ、そっか。……佐久早に、何か言ってやろうか？誘ったの、あいつなんだよな」
『知ってたんだ。でもいい、試合前の人にそんな事できない』
スマホをポケットにしまいながら、あくまで冷静を装って答えた。掌の心配するような目が少し煩わしい。
……掌に言われたんだっけ。欲張れって、もっとわがままになれって。
『……やっぱり、これだけ伝えといてくれる。
"最終日まで見てる"……って』
ちょっとでもいい、気づいて欲しい。これが本音だ。
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すみた先生(プロフ) - 魅亜羅さん» コメントありがとうございます！ちょっとずつ進めていこうかなと思っていますので、気長に待っていただけると有難いです🙏絶対完結させます！ (12月1日 21時) (
レス) id: 547ebe12b8 (このIDを非表示/違反報告)
魅亜羅(プロフ) - 佐久早の恋愛のお話好きで、とても引き込まれる作品です！更新楽しみに待ってます！ (12月1日 1時) (レス) id: 5c7231855f (このIDを非表示/違反報告)
すみた先生(プロフ) - モモさん» コメントありがとうございます！！気まぐれ更新でホント申し訳ありませんが、頑張ります！！ (2023年1月13日 22時) (レス) id: 547ebe12b8 (このIDを非表示/違反報告)
モモ - この話、めちゃくちゃ好きです！続きが気になりすぎるっっ。楽しみにしています！！ (2023年1月12日 21時) (レス) @page34 id: 759a61aa3f (このIDを非表示/違反報告)
雪音くん。 - すみた先生さん» 「大人編も見たい」って意見しかないですもんね笑私としても嬉しいです(*´ω｀) (2022年5月7日 21時) (レス) id: 07fdfe6512 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すみた先生 | 作成日時：2022年1月15日 19時
