156発目 ページ30
『……大平』
「悪いなJACK、試すような事して。どうしてもうちについて欲しかったから」
『何が"悪いな"だ。思ってもないくせに、私に建前を使うな』
大平獅音。昔から牛島の側近だった男だ。私とQUEEN、牛島と大平。幼いながらに何でもそつなくこなすそいつは、まだ両組織の関係が良好だった頃、私にとってある程度心を開くに値する兄貴分だった。表情の硬い牛島とは違って、朗らかに笑い柔軟な考えを持つ大平は、俗に言う世渡りの上手い人間だった。
「でも、手を回さない限りは何も出来ない」
『そういとこが嫌いなんだよ』
でも結局血は血。何でも笑って見過ごす奴ではないし、必要に迫られれば自ら手を汚す。この界隈では普通の、冷酷な人間。あの頃は別にそれを嫌悪した訳じゃない、むしろ優秀な人間だと思った。
だからこそ、敵に回すと厄介だという事を認識せざるを得なかったんだ。
「報酬は必ず渡す。もうしばらく…梟と鉄壁との事がある程度収まるまで、白鳥と繋がってい欲しい」
『私は、あんたらが勝とうが野垂れ死のうが、これっぽっちも興味無い。いくらPhoenixの肩書きが幅利かせてようが、実質的にあんたらだけで解決出来る問題なら勝手にしろ』
未練がましい……情けないと思わないのか。私がまだあの頃の女の子だと思ったら大間違いだ。
『10年以上前に縁は切った。まだ縋ろうってんなら、有り金はたいて土下座でもしな』
私が言い終わるや否や、一発の銃声が響いた。
「黙って聞いてりゃベラベラと……それ以上大平さんと牛島さんを侮辱してみろ、今度は頭を撃ち抜く」
トリガーに指をかけて銃口をこちらに向けた白布。今しがた銃弾がめり込んだ床に視線を落とし、私はため息を吐く。
『そればっか。こいつのどこが良いのかサッパリだ』
「……俺は本気だぞ」
『じゃあ撃てばいい。私としてもこいつの顔を見なくて済むのは有難い話だから』
自ら歩み寄って銃口を額にくっつける。眉を寄せた白布の表情がよく見えた。
「白布。……JACKと2人で話がしたい」
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すみた先生(プロフ) - サラミさん» コメントありがとうございます！！気まぐれ更新でホント申し訳ありませんが、頑張ります！！ (2022年8月17日 11時) (
レス) id: 547ebe12b8 (このIDを非表示/違反報告)
サラミ - 初コメ失礼します。すごく面白くて一気読みしてしまいました!!更新頑張ってください!応援してます!! (2022年8月17日 9時) (レス) @page27 id: 82adb6822c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すみた先生 | 作成日時：2021年11月28日 19時
