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『あ!チョット待ってくれます?えーっとそこの人。ここって、龍組の、所謂賭博場ってやつっすよね?』
最初に話しかけてきた男に顔を向けて問う。男は、訳が分からないと言うように首を傾げた。
「だから何だよ」
『俺ね、この組の雰囲気好きなんすよ。だから、万が一でも、億が一にでもイカサマ……なんて事があったら』
「馬鹿野郎!!んなのあるワケねーだろうがよぉ!日陰者でも俺らは家族同然、同じ釜の飯食って、同じ杯交わしてんだ。この組への愛に誓って、賭け龍にイカサマはねぇと断言するぜ」
熱弁どうもありがとう。周りの奴らの頷く様子を見ると、本当に今まで一度もイカサマは無かったらしい。
いや…無かったんじゃなく、見破れなかったんだな。
『そりゃあ良かった!じゃあ林さん、開けてください』
「(こいつ、何か謀って……)」
林は、私の目を睨みあげながら壺を持ち上げる。
「2、5、5。2を足して……丁です」
林が言うや否や、観衆が沸き上がる。900万、と叫ぶ奴。林さんカッケーと興奮する奴。私を嘲笑う奴。
『っ、クソ……!!!』
膝から崩れ落ちて、畳に蹲る。
「おら900万!カイトも100万出せ!合わせて一千万!大儲けじゃねぇか、なぁオメーら!!」
畳をバリバリと引っ掻く私を、今度は林が立ち上がって見下ろした。
「だから言ったでしょう、君に俺の事が測り切れる訳がない。もしかしたらと思いましたが……正直期待外れです。出直してきなさい」
『うっ…クッソ……!っ、ちくしょうっ!!!』
私は畳に拳を振り下ろした。ドンッ、と鈍い音がする。同時に、側に誰かが立ったのが分かる。冷たい声でそいつは私の偽名を口にした。
「カツキ……俺もガッカリだよ」
『っ、クヒッ……』
「?」
『なにが、ガッカリだって…?』
上げた口角をそのままに、顔を上げた。
『勝負はどう転ぶか最後までしっかり見ておかないと、ねぇ?』
ポケットから取り出したナイフを、壺があった畳に深く突き刺した。
『全員見てな。これが、"新参者"が見破ったイカサマだ』
ナイフを持ち上げる。
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すみた先生(プロフ) - サラミさん» コメントありがとうございます!!気まぐれ更新でホント申し訳ありませんが、頑張ります!! (2022年8月17日 11時) (レス) id: 547ebe12b8 (このIDを非表示/違反報告)
サラミ - 初コメ失礼します。すごく面白くて一気読みしてしまいました!!更新頑張ってください!応援してます!! (2022年8月17日 9時) (レス) @page27 id: 82adb6822c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すみた先生 | 作成日時:2021年11月28日 19時