144発目 ページ18
「赤葦」
「……はい」
大きな椅子に座った男は真っ直ぐに癖毛の男を見つめる。赤葦は無意識に手を握り込んで、生唾を飲み下した。冷や汗が首筋を伝う。
「俺は不死鳥に頼めって言った?」
「…いえ。俺の独断です」
「お前が頭良いのは分かるし、多分俺らの事考えてやってくれたんだろうけどさー……断られるって思わなかった?俺は頼んでもムダだって思ってたぜ?」
「同じく。ちと冷静じゃなかったな」
赤葦の後ろから木葉が言葉を投げかける。眉に皺を寄せて視線を下げる赤葦を見兼ねてか、木兎が立ち上がる。
「で、不死鳥は白鳥の奴らと手ぇ組んでたって?」
「しっかし意外だよな〜、あの堅物で有名なウシワカが不死鳥と組むとか。方針も性格も合わねぇだろ」
「何かあんじゃねーの?」
「……木兎さん。その事について、ずっと考えていたんですが、1つ仮説が」
その場しのぎの言葉ではない事はすぐに分かった為、木兎は再び椅子に腰かけて頬杖をついた。木葉も別の椅子に座って赤葦の言葉を待った。
「だいぶ昔、雀と白鳥の間には同盟関係がありました。そして……
不死鳥のボス、JACKは雀の生き残りだと考えられます」
言葉の余韻が部屋に響く。次に聞こえてきたのは木葉が息を吐く音だった。
「もしそれがマジでも、不死鳥の奴らのやり方は雀とは違う。白鳥と今手を組んだのも、今まで仲良くなかった証拠だろ。
白鳥にいくら出されてんのか知んねぇけど、俺は不死鳥と組まないで正解だと思うぜ」
「不安要素が多いから、ですか?」
「ん。それもある。まー言っちまえば、不死鳥はパーティーの件で嫌われてんだよ」
「俺は、組めるんなら組みたかったけどなー。ぜってー無理だって分かってたけど」
木兎の言葉に、赤葦と木葉は目を丸くする。
「だって強ぇーじゃん?バックに付いたらケンセイにもなるし」
牽制って漢字書けないんだろうなー……と思いつつも、それは確かにそうだと納得する2人。ただ、嫌いな人間にわざわざ頼み込んでまで手を組もうとは思わないのだ。
「とりあえず今は様子見って事で良いんじゃねぇの?」
「ですね。……いいですか、木兎さん」
「ん〜……」
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すみた先生(プロフ) - サラミさん» コメントありがとうございます!!気まぐれ更新でホント申し訳ありませんが、頑張ります!! (2022年8月17日 11時) (レス) id: 547ebe12b8 (このIDを非表示/違反報告)
サラミ - 初コメ失礼します。すごく面白くて一気読みしてしまいました!!更新頑張ってください!応援してます!! (2022年8月17日 9時) (レス) @page27 id: 82adb6822c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すみた先生 | 作成日時:2021年11月28日 19時