【A3！】転勤してきた彼女の推しは俺でした【茅ヶ崎至】 (ページ8)

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俺の演技が良かった、という言葉に、「嬉しいよ、ありがとう。」などと当たり障りのないことを言って笑う場面のはずだった。ファンの人との交流でもいつもそうしていたはずだ。しかし、悩みながら主演を務めた思い入れのある作品に対して、原作のファンに真っ直ぐに評価されて何も言えなくなってしまった。嬉しい。板の上でお客さんから拍手を貰ったときや必死で稽古してきたものを全て出しきれた千秋楽のカーテンコールの時と同じくらい、芝居をやっていてよかったと思った。

「それに私は初日に行ったんですけど、茅ヶ崎さんの前説？挨拶？で、自分がⅣに夢中だった頃を思い出しました。小学生の時、お年玉握りしめて買いに行ったなぁって。」

その後の彼女は、すっかりMANKAIカンパニーのファンになってくれたらしい。大阪に住んでいたためなかなか全部の公演をとはいかずとも地方公演には何度も足を運んでくれていたようだ。

「こっちにも何回かは観に来ました。その、……こちらまで来る用事もときどきあったので。今回の転勤も不安は沢山あったんですけど会社が天鵞絨町の近くなのが何より嬉しくて前向きになれました。まさか一番大好きな推し役者さんと一緒に働くなんて思ってもみませんでしたけど。」

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