いつかは・・ ページ48
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*
「10月……どうりで寒いわけだ。」
それも10月の第3週。
クリニックの窓から感じる空気が、しん、と冷えていて。
その中で寂しくなった花壇を見て
今度ビオラを植えよう、と想像する。
よし。
早く帰ろう。
ﾁｬﾝﾐﾝもきっと今頃、全てのカウンセリングを終えた頃。
もう一度戸締まりを確認し、受付の電気を消そうとすると…
ﾊﾞﾀﾊﾞﾀと慌てたように
帰ったはずのｷｭﾋｮﾝ先生が姿を見せた。
「ｷｭﾋｮﾝ先生。忘れ物でも？」
KH「あ、まだ帰ってなかったんですか。
そうそう、財布(笑)」
「お財布ですか。それは、気付いて良かったですね。」
ｷｭﾋｮﾝ先生はすぐに診察室に行き
1分もしないで戻って来た。
ひっそりと。
音楽を止めた部屋は、必要以上に静か。
KH「じゃあ……Aさんも、遅くならないように。」
「あっ、はい。」
立ち上がろうとしたけれど
なんとなく、同じタイミングで帰ることを躊躇って。
ドアに向かうｷｭﾋｮﾝ先生の後ろ姿を見守っていると
先生が急に振り返った。
「…？」
なぜだろう。
目の前にいるｷｭﾋｮﾝ先生が、一緒にリラッねこミュージアムに行った人とは別人に思えて。
あれから………もうすぐ半年経つんだ。
色々あった。
ｷｭﾋｮﾝ先生への理解を深めようと試みながら。
結局、そんな私のお節介が、色々な事を招いた。
KH「………」
ｷｭﾋｮﾝ先生は私をじっと見据え。
不意に何かを言いかけて、それを一度躊躇する。
KH「…や。やっぱり何でもないです。」
「気になります。どうかしましたか？」
すると、ｷｭﾋｮﾝ先生は息を吐いて。
「言うべきかどうか、判断に悩んだんだけど…」と、ようやく私に届く声量で呟いた。
…？
改まって、なんの話だろう？
KH「Aさん。」
「はい？」
KH「………ﾁｬﾝﾐﾝ、知ってるって。」
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作者名：りんこ
| 作成日時：2015年11月5日 21時
