花火よりも・・ ページ42
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未だによく分からないのは…
いつ、どのタイミングでﾁｬﾝﾐﾝのスイッチが入るのか、という事。
だけど。
ﾁｬﾝﾐﾝに言わせると
"いつ入るかではなく、いつそれを表に出すか"だという。
つまり、いつでもスイッチがオンなのだ…と。
「ﾁｬ、ﾁｬﾝﾐﾝ、最後まで花火見よう？」
CM「ラストはしだれ柳ですよ。何も真新しくない。」
「な、何度見たって感動するのがしだれ柳だよ。」
ﾁｬﾝﾐﾝは諦めたように大袈裟な溜息をついて。
私を残してキッチンに姿を消した。
そして。
缶ビールを飲みながら
カウンターに寄り掛かって花火を眺め始める。
「いいね。夏らしくて。」
CM「Aさんも飲んだら？
僕といる時くらいしか酒飲まないんでしょう？」
ﾁｬﾝﾐﾝのその言い方には、どこか甘さを感じる。
それはきっと。
自分といる時にしかお酒を飲まない私を
ﾁｬﾝﾐﾝが好ましく思っているから。
寛大なようで亭主関白。
それでも、そんな古風な考えのﾁｬﾝﾐﾝを、私は決して嫌いではない。
「じゃあ、頂きます。」
CM「ん。」
ﾌﾟｼｭ…
結局はﾁｬﾝﾐﾝの隣で。
腕が辛うじてぶつからない程の距離感で
こくこくとビールを飲む私。
後味が苦いね、と伝えると
お子様にはまだ早かったですかね、と返ってくる。
「…ふふ(笑)」
好きだなぁ。
すっごく好きだなぁ。
ﾁｬﾝﾐﾝの甘過ぎないところが安心する。
淡白な優しさが、私にはいい塩梅。
「ﾁｬﾝﾐﾝ。肩、寄り掛かっていいかな。」
CM「うん。どうぞ。」
「…ありがとう。」
だけど実際には。
肩ではなく、腕にもたれ掛かるのが精一杯。
私とﾁｬﾝﾐﾝの身長差では。
ﾄﾞｰﾝ…ﾄﾞｰﾝ……
暫くの間…
私達はその体勢で、ビールを飲みながら花火を眺めた。
頬が火照る。
首が火照る。
ﾁｬﾝﾐﾝと触れ合っている左半身だけが
ヒーターのように熱をもち。
ぎゅっ…と。
私の肩を抱き寄せるﾁｬﾝﾐﾝに
なぜだか唐突に、しだれ柳よりも、ﾁｬﾝﾐﾝと抱き合いたい感情が膨れ上がった。
「……ﾁｬﾝﾐﾝ、」
CM「…………」
その声に顔を向けたﾁｬﾝﾐﾝが
きっと、私の心の中を察してくれて。
ｶﾀﾝ…
私の手から缶を抜き取ると、ひやりと冷たい掌で頬を包み込み、腰が砕けるような甘苦いキスをした。
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作者名：りんこ
| 作成日時：2015年11月5日 21時
