スパイラル ページ27
・
*
まだ22時を少し過ぎただけなのに。
アパートで明かりがついている部屋は一つだけだった。
ｶﾞﾁｬ…
鍵を開けると、すぐにﾁｬﾝﾐﾝが私の肩を抱いて。
CM「…………」
外よりも数度暑く感じる玄関。
ﾁｬﾝﾐﾝは、黙ったまま私の身体を抱き締めた。
洋服から微かに感じる煙草の匂い。
その……
いつものﾁｬﾝﾐﾝを思うと早急過ぎる動作に
どくっと心臓が跳ね。
…？
もしかして、気付いてる？
まさか。
そんな事あるはずないのに
嫌な焦りが、背中の方からぶわっと走った。
「ﾁｬﾝﾐﾝ…？」
CM「……夏バテかな。
もう少し、このままでいさせて下さい。」
「…うん。」
今日買ったエプロンが入った紙袋を足元に置いて。
ﾁｬﾝﾐﾝの背中にそろそろと手を回す。
熱い。
薄い生地から、熱が伝わる。
ﾄﾝ…
ﾁｬﾝﾐﾝが前のめりに私を抱き締めると
そのまま、冷たい壁に背中がぶつかった。
「ﾁｬﾝﾐﾝ。ほんとに、大丈夫…？」
CM「…ん。もう平気。」
そう言うと、ﾁｬﾝﾐﾝは身体を離して。
はぁ…と小さく溜息をつくと
「お茶漬け食いたい(笑)」とおどけたように言った。
*
CM「…好きです。」
真っ暗にした部屋。
ベッドの上で、ﾁｬﾝﾐﾝの重みを感じながら頷く。
私も、好き。
平凡な私の人生が180度変化したのは
ﾁｬﾝﾐﾝと出逢ったからだよ。
「珍しいね。好きって言うのは。」
CM「…(笑) 最近ずっと、どうしたらスマートに愛せるだろうって考えてたんだけど、結局よく分かんないから。」
「…………」
CM「だから……もう、本能のままにいこうと思って。」
本能のままに…。
ｷﾞｯ…
すると、ﾁｬﾝﾐﾝの体重が掛かって。
それを受け止めながら、一瞬で意識は途切れ途切れになる。
余計な事は考えられない。
呼吸もままならない。
最初の圧迫感は、すぐに甘痒い快感に変わるから。
「も……ダメ、」
CM「………」
「っ…ﾁｬﾝ、ﾐﾝ…」
CM「…ん」
余裕のない時のﾁｬﾝﾐﾝは、殆ど何も話さない。
意地悪な事とか赤面する事とか…
そういう、普段ベッドの中で言うことを言わなくなる。
ｷﾞｼ…
ﾁｬﾝﾐﾝの綺麗に筋肉の浮かぶ肩に必死にしがみついて。
塞がれた濡れた唇に、苦しくなって。
少ない言葉とは裏腹に……
ﾁｬﾝﾐﾝがくれる愛の重さを、今日はいつも以上に強く感じた。
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作者名：りんこ
| 作成日時：2015年11月5日 21時
