水色のカルテ５ (ページ16)

今日:2 hit、昨日:13 hit、合計:663,459 hit

楽しい映画デートをしようページ16

・

*

*

　「はぁ～、凄くよかったです。私、リラッねこの生い立ちのストーリーでは感動しっぱなしで…」

RW「ね、ほんとほんと。あんな過去があったんだね。
だからどうしても栗リラッねこは憎めない…(笑)」

まだ映画の余韻に浸っていて。
ふぅ…と息を吐くと、ﾘｮｳｸさんがにっこりと微笑む。

RW「Aぴょんアイス食べよ？クーポンあるの♪」

　「わ、いいですね。クールダウンしましょう。」

楽しいな。

ﾁｬﾝﾐﾝにはまだリラッねこの魅力は伝わらないから。
こうして、ﾘｮｳｸさんと映画に来れてよかった。

8月に突入して。

14時のじりじりと殺人的に眩しい日差しを
ハンカチで気持ちばかりに避ける。

夜は、ﾁｬﾝﾐﾝも合流して3人で居酒屋さんに行く予定。

いいなぁ。
素敵な休日だなぁ、と汗でズレた眼鏡を指で直した。

*

RW「Aぴょん、おいし？」

　「はい、冷たさが浸透する～…」

RW「ふふ。苺クリームチーズも食べる？
はい、あーん。」

ﾘｮｳｸさんは、女の子が大好きなものをたくさん知ってる。

雑貨屋さんでは、お勧めのバスソルトを教えてくれて。

私に似合いそうな花柄のエプロンを選んでくれて。

お肌にいいスムージーのレシピも教えてくれた。

RW「今日ね、一応ﾁｬﾝﾐﾝさんに許可取ったの。
Aぴょんと出掛けてもいい？って。」

ｶﾗﾝ…

タピオカ入りのミルクティー。

ﾘｮｳｸさんはストローで掻き混ぜると
私に、ちらりと視線を向けて。

私は応えるように頷いた。

RW「ﾁｬﾝﾐﾝさん、即答でおっけーくれたの。」

　「ふふ。そうでしたか。」

RW「まぁ、僕がこういうタイプなのもあるけど。
てっきり嫉妬深い束縛系なのかなぁ…って思ってたけど、そうじゃないんだよね。」

　「…？」

ﾘｮｳｸさんは意味深な事をたまに言う。

漠然としていて、なぞなぞのような事を。

意味を察しかねて首を傾げると。
キャップの下の目が、楽しそうに細まって。

RW「……モテる女はツライね、Aぴょん(笑)」

あの……雷の日から、2週間。

ｷｭﾋｮﾝ先生とは、必要最低限の挨拶だけ。

だけど。

朝、コンビニ袋を片手に診察室に入るｷｭﾋｮﾝ先生に
なぜだか、罪悪感でぐっと胸が痛くなって。

鈍感でも分かる。

あの日以来、間違いなくｷｭﾋｮﾝ先生は私を避けているのだと。