愛の重さ -CM- ページ15
-CMside-
腕時計に視線を落として。
じゃあ、と背中を向けるとﾘｮｳｸに呼び止められ。
RW「殴られたくないから言っとくけど、今度Aぴょんとリラッねこの映画行ってくるね？」
CM「好きだな…。どうぞご自由に。」
RW「くく、僕はいいんだ(笑)」
確かに。
ﾘｮｳｸも一応は男に変わらないのに
不愉快にもならずに送り出せるんだ。
CM「…………」
…もう、やめよう。
朝から余計な事を考えたくない。
カウンセラーの精神が不安定であれば
隠せているつもりでも、クライアントは敏感に感じ取るから。
ｶﾞﾁｬ…
「あ、おかえりなさい。」
窓を拭く手を止めて、僕に微笑み掛けるAさん。
CM「珈琲もらっていい？」
「はい。待っててね。」
予約時間までゆっくり飲む珈琲は、僕のルーティン。
そしてすぐ。
Aさんは僕の前にカップを置くと、そのまま隣に座り
意を決したように口を開いた。
「……今日作ったお弁当は、二人分です。」
CM「はい？」
「もちろんこれからも。ﾁｬﾝﾐﾝと、私の分。」
つまりは……
ｷｭﾋｮﾝとの距離感を、これまでとは変えていく。
その意思表示を、遠回しに伝えようとしてるんだと分かって。
口調から滲む緊張感を感じて。
ﾄﾞｻ…
向き合うと、その身体を抱き寄せた。
柔らかい。
珈琲とAさんの髪の匂いが混じり合う。
僕の、失えない月曜と水曜の朝。
「ﾁｬﾝﾐﾝ…？」
CM「分かった。明後日の弁当は牛丼にしてくれますか。」
「ふふ(笑) それは、出来たてを食べて欲しいよ。」
CM「じゃあ今夜。僕の部屋で作ってください。」
首に埋まったAさんが、こくりと頷く。
「ありがとう」と小さく呟きながら、安心したように。
ありがとう……か。
金曜の夜、僕と別れて…
土曜も、日曜も、今朝も、ずっと不安だった？
僕があんな態度を取って。
会う約束もなしにするくらい怒って。
3日間、どうしたら僕の機嫌が直るのか、たくさん悩んだ？
今、仲直り出来てほっとしてる？
CM「あー……重いですね、僕。」
「ううん。大丈夫だよ、もっと体重掛けても。」
CM「……もう、鈍過ぎて愛おしい(笑)」
ﾘｮｳｸが言った事、ほとんど合ってるよ。
だけど、あと一つある。
ｷｭﾋｮﾝの本音がどこにあるのか。
僕の嫌な予想は、当たっているのか。
まだ………結論を出しあぐねているから。
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作者名：りんこ
| 作成日時：2015年11月5日 21時
