水色のカルテ５ (ページ14)

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● 第12章 ● 抑制ページ14

-CMside-

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RW「…うわぁ、殴るなんてサイテー。
うちの大事なドクターにやめてくれます？」

言葉とは逆に楽しそうにきゃきゃっとしたﾘｮｳｸが
クリニックの受付でお茶をすする。

あれから3日。

今朝、Aさんと顔を合わせると
一瞬気まずそうな表情を浮かべたけど。

すぐに「今日のお弁当はわかめご飯だよ」と笑って。

その笑顔に、僕の方が救われた。

RW「まぁ分からなくもないけど……それ、ただの嫉妬だよね(笑)」

CM「お前、ｷｭﾋｮﾝに関してはこっちの味方してなかった？」

RW「ん？僕、味方とかないよ？
その時々で思った事を言ってるだけだもん。」

あぁそう、と言い捨てると
ふと、受付に置かれたグレーのうさぎが目に入った。

付き合う前。
Aさんと眼鏡を買いに出掛けた日に見付けたもの。

…(笑)

だけど実際。

Aさんは、うさぎのイメージよりも頑固な人だった。

自分の意見は全て胸の中にしまってしまう印象だったけど
全くそんな事もなくて。

RW「ﾁｬﾝﾐﾝさんてさ。付き合う前から異常にｷｭﾋｮﾝ先生に警戒してたよね。Aぴょんが先生を好きとか勘違いするし、暴走してキスするし(笑)」

CM「それは、ｷｭﾋｮﾝの女癖を知ってるから。」

すると、ﾘｮｳｸが僕を見上げる。

重めの前髪から、女子のような上目遣いで。

RW「……自信ないんでしょ。」

CM「…は？」

RW「心のどこかで、ｷｭﾋｮﾝ先生には敵わないって思ってる。先生の魅力を知ってるからこそ、負ける気がしてる。元カノだってｷｭﾋｮﾝ先生と浮気した。

だから、意地になって二人を離そうとするんだ。」

たまに思う。

ﾘｮｳｸは、どこかで恋愛相談員でもやったらいいんじゃないかと。

間違いなく、痛いところしか突いてこない
嫌味な相談員だろうけど。

してやったり顔でニヤリとしたﾘｮｳｸは
「あ、そうだ」と呟いて。

RW「Aぴょんが言ってたけど……お弁当、今日からﾁｬﾝﾐﾝさんにだけなんだって。よかったね？」

CM「……そ。」

格好悪い？

今の僕は、一番大事なものを失うのが怖くて。

雨の車の中。
正論でAさんを責めて、独り占めに成功した。

…そうだよ。

ｷｭﾋｮﾝの魅力は、嫌でも知ってるから。

あいつは簡単に人を惹きつけるから。

悔しいけど……
僕はきっと、ずっとｷｭﾋｮﾝに引け目を感じてるんだ。