水色のカルテ５ (ページ11)

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そういうつもりじゃないページ11

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── いい加減、いつもいつも無警戒過ぎだろ…って事。

ｸﾞｯと喉が締まるような圧迫感の中。

なんとか私が感じ取れたのは
言葉の全てにﾁｬﾝﾐﾝの苛立ちが込められていた、という事。

声色、声量、単語のチョイス………その全てに。

CM「Aさんとｷｭﾋｮﾝが親密になるのが嫌なんだ…って。これまでの僕の態度で、まだ気付けない？」

　「…………」

CM「あなたがそんなだから………猫ミュージアムの時も行く羽目になって、さっきもやすやす抱きつかれたりするんだよ。」

ﾁｬﾝﾐﾝの口から発せられた言葉の一つ一つが
針のようにチクチクと心臓に刺さり。

"ごめんなさい"

そう、すんなりと口に出せない自分が嫌なのに。
間違いなく言うべきなのに。

それでも、どうしても胸にわだかまる何かがあった。

漠然とした何かが。

　「……ごめん、なさい。」

CM「…………」

　「でもね、ﾁｬﾝﾐﾝはそうやって心配してくれるけど。
ｷｭﾋｮﾝ先生が私に言う事は、全部お世辞なんだよ。
それをちゃんと分かってるから…」

CM「じゃあ逆に聞くけど。そこまでしてあいつと仲良くしたい理由はなんですか。」

そこまでして、ｷｭﾋｮﾝ先生と仲良くしたい理由…？

そう言われたら、何も言えなかった。

口をつぐんで、もどかしさで眼の奥が痛くなって、カバンの持ち手を強く握って。

　「……違う。ごめんね。そういうつもりじゃない。」

…そうだ。

同性だったら何も問題のない事でも。
例えそこに、恋愛感情などなくても。

ﾁｬﾝﾐﾝを不愉快にさせているのなら、それは、私が間違ってる。

CM「無防備なAさんも放っとけなくて好きだよ……とか、言えない。すみません、そこまで寛容な男になれない。」

ﾁｬﾝﾐﾝの言葉に、カッと熱いものが胸を覆って
何度も首を横に振った。

当然だから。

そして、私に向けてくれるﾁｬﾝﾐﾝの愛を感じるから。

CM「……明日は会うのやめときましょうか。
頭冷やして、月曜にまた。」

　「え…」

CM「正直……ダメージでかくて。彼女が他の男と抱き合ってるとこって、やっぱり見たくなかった。」

そこで初めてﾁｬﾝﾐﾝが力なく笑って。

手作りジャムとスコーン。
明日ﾁｬﾝﾐﾝと一緒に食べたいよ、なんて。

そんな事が頭をかすめた瞬間、なぜだか今日一番に、涙が込み上げてきそうになった。