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「ﾁｬﾝﾐﾝ、ありがとう。運転お疲れ様でした。
珈琲でも飲んで行く？」
んー…と掠れた声を漏らしながら
ﾁｬﾝﾐﾝは上にぐぐっと伸びをする。
指先が天井について、少し窮屈そうに。
CM「や、このまま帰ります。
部屋にあがっちゃうと帰りたくなくなるから。」
「そう？」
CM「着いたら連絡します。」
昨日と今日。
ﾁｬﾝﾐﾝと過ごした時間は、約32時間。
いつも以上の名残り惜しさに襲われている私は
あと一日一緒にいられたら……なんて、欲張りになっていて。
CM「じゃ、また後で。
Aさんはゆっくり休んでて下さい。」
「はい。ありがとう。」
CM「そうだ、旅行楽しかったですか。」
大きく頷くと「とても楽しかった」と付け加えた。
遠くでなくても。
初めて訪れる地でなくても。
ﾁｬﾝﾐﾝとなら、楽しいに決まってる。
CM「…ん。なら良かったです。」
私を見るﾁｬﾝﾐﾝの眼差しは、たじろぐ程に優しい。
疲れていて、微かに眠そうで。
そんな、おっとりとした目を細め、私を見つめる。
「…うん。じゃあ。」
だけど。
何度「じゃあ行くね」と言っても、離れがたくて。
おかしいな。
長距離恋愛でも何でもないのに。
なんなら……明後日、月曜には
いつも通りカウンセリングルームで会えるというのに。
CM「…早く行けよ(笑)」
そう言われて。
慌ててカバンを掴むと
逆にその手はﾁｬﾝﾐﾝによって捕らえられ…
キスの予感と共に、本当に唇が重なる。
CM「……じゃあ、また。」
そして、やっとの事で私は車を降りる。
手を振ると、ﾁｬﾝﾐﾝも小さく振り返してくれて。
そんな些細な事で、私はときめく事が出来た。
帰る間際に、また彼を好きになった。
実を言うと。
昨日の夜、私は寝たフリをしていたんだ。
ﾁｬﾝﾐﾝがくれた言葉が、本当に本当に嬉し過ぎて。
前にも、二人の将来を感じさせる事を
言ってくれたりもしたけれど。
"結婚"と。
直接的な単語が使われたのは、昨日が初めてだったから。
── 休みの日は一緒に過ごして。
年に何回かはこんな風に旅行して。
2年……や、出来るだけ早く結婚しましょう。
ね、ﾁｬﾝﾐﾝ。
2年以内に……って、そう思ってもいいのかな。
胸がじわりと熱くなるのを感じて。
車がとっくにカドを曲がっていた事も、暫くは気付かずにいた。
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作者名：りんこ
| 作成日時：2015年11月5日 21時
