雨宿りするなら君の胸の中で。 ytin

29. 甘味と猫 ページ29

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「 うわ、すごい 」


慧「 ほんとね。すっごく綺麗 」









カメラ片手に、どこまでも広がる茶畑を見つめた。
青々としたそれは特有の香りを出していて息を吸うたびに清々しく感じる。








「 静岡ってやっぱり空気が綺麗だね。最初どうかなって思ってたけど、来て正解でした！」


慧「 ふふ。そうだね。静岡なんて来る機会ないし」



「 水は綺麗だし、お茶は美味しいし。日本人たるもの一度は訪れたほうがいいねこれは 」









あの後、お互い休みが無事に取れて、さて行き場は…と検討したところ、あまり遠くなくて行ったところがない場所として静岡になった。


静岡といえば、日本有数の日本茶県。
富士山も見える美しいところ。

日本人だけでなく、外国人観光客も多い。









「 甘味処にでも入る？」


慧「 入りたい！ほら、裕翔くん、早く！」









何より、和食屋が多く日本人好みの街並みが広がる静岡は慧さんにドンピシャで、喜んで貰えているようで嬉しいんだ。

俺の手を取り、いつもよりはしゃぐ横顔にまた何度も恋に落ちる。








テンションの高い慧さんも可愛いなあ。








慧「 裕翔くん、ここはどう？」







少し歩いて見つけた、暖簾の掛かった老舗らしい甘味処の前に立ち、慧さんがはにかむ。
一枚だけ、カメラに納めたら「入ろうか」と言い頭を撫でてみた。






時間帯が少し早いからか、意外と空いている店内で抹茶の匂いとゆったりとした音楽を楽しみながらメニュー表を二人で覗き込む。








「 慧さんはどれにします？」


慧「 んー……やっぱりここは餡蜜かな 」




「 じゃあ俺は抹茶ラテの最中セットにしようかな 」


慧「 ああ。ここに入った瞬間、お抹茶のいい香りがするもんね 」


「 そうなんです！ふふ、じゃあ頼もっか 」









甘味を待つ間、この後どうするかを話す。
慧さんは久しぶりの休暇で嬉しいのかいつもより饒舌に物を言ってくれて、目が輝いてる。

大学が建築学科だったこともあって静岡の奇抜な建築物のことも教えてくれた。









( お待たせ致しました。餡蜜セットと、抹茶ラテセットになります。)









黒々とした小豆、透き通る簡単、赤いさくらんぼ、食欲のそそられる甘い匂いの黒蜜、そして綺麗な色をした抹茶アイス。




よだれが出そうな勢いで目をハートにさせた慧さんが可愛すぎて、熱々のラテで火傷してしまったのは恥ずかしいから内緒、ね。

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