雨宿りするなら君の胸の中で。 ytin

14. 恋する予定 ページ14

in side






恋だと認識するには、まず、その人の好きなところを３つ上げること。







宏太「 ふーん。じゃあ、その好きなところとやらは何なんだよ。」





スマホの画面を見せると苦笑いしながら痛いところをつかれた。


高々と上げた手を下ろし、溜息を吐く。
昨晩調べて行き着いたウェブサイトの恋愛項目にあったものをいくつか無作為に見せてみると薮は消していい顔をしなかったのだ。









「 それが…いざ言ってみようって思うと抽象的なことしか言えないんだよね…」


宏太「 はは。まあ、そうだろうな 」






俺の言葉を聞いた薮が、ブラックの珈琲を一気飲みし徐に煙草を取り出しながら笑い続ける。

その笑顔はバカにした感じではなく親が子にするように、兄が弟に見せるようなそんな顔だと認識した。








宏太「 理由なんてどうだっていいんだよ、そんなもん後付けならいくらだって出来る。」



「 でもネットに……」


宏太「 大切なのはそこじゃねえことくらいお前もう分かってんだろ？」




「 分かってる、けど…これを恋って俺が決めつけたらもう裕翔くんに会えない気がして…嫌われるの怖いし…」


宏太「 おいおい、周りにキノコが見えるぞ。ネガティブも程々にしとけよー 」









些細だけど幸せなチャットのやり取りとか、たまに会ったりした時に見せてくれる満面の笑みとか、全部全部、裕翔くんとだから嬉しいんだよ。

気がつけば、好きだったんだから。責任とってよ…もうっ









「 あー、こんなの初めてだよ、やぶぅ…」


宏太「 お前受け身だったもんなぁ…あの青年、ロールキャベツならぬ只のキャベツ並みのチキンと見た」


「 キャベツなのかチキンなのかもうよくわかんないけど……裕翔くん、俺のことどう思ってるんだろう」









昔から、有難いことに恋愛においておれが一歩踏み出さなきゃいけない場面は少なかった。

初体験とか告白の返事とかは、俺も自分なりに頑張ったけど、こんなにドキドキする恋は久しぶり過ぎて緊張する。

それに、エフェクトがかかって裕翔くんばかりかっこよく見えてしまうし、電話するだけで、流れ星が心に落ちてきたみたい。キラキラしたそれが俺を優しく包むんだ。





色んな意味でこんなの初めてだから、どうしていいのか余計分からなくて戸惑うけどね？






それでも、君が好きだって、断言できるくらいにはなれた。

いつかと願うよりも早く君が俺を好きになってくれたらいいのに。

15. スターライト→←13. 君死想勿

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す