純情浪漫 jump×jump

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昼休み。大ちゃんと光と飯食ってたら話題は専ら薮のことになった。









大貴「 えー！薮くん帰って来てたの！」


光「 そ。昨日電話があってさ。上京したくせに。戻ってくんの早いよな 」


大貴「 まあ、隣の県だしねー 」








あれ、 菓子パンの味がしない。







光「 …で、いのちゃんはなに？新手のボケ？」


大貴「 っうわ！いのちゃんなんでタオルかじってんの！無理だよそれ！人間の限界！」


「 ほぁ？…あー 」








まちがえた、と呟けば
「あほ」と笑い混じり光のツッコミが返ってくる。
大ちゃんは訳がわからないくらい混乱してて、光が宥めてやっと普通になった。








「 ちょっと飲みもん買ってくるわ〜 」


大貴「 つ、着いてかなくていーい？！」


「 だいじょぶーちょっくら行ってくるー 」









いのちゃん！って呼ぶ声がしたけど振り返らなかった。
今見たらたぶん俺は泣いてしまうだろうから。









「 …いっそ、」








いっそ、光がめちゃくちゃブサイクで性格もクズになればいいのに。
それで大ちゃんに嫌われればいいのに。
嫌なとこは猫が嫌いなとこくらい。

勝てっこないことくらい分かってるつもりなのに。
光の欠点を、入れる隙を探してる自分がいる。




人通りの少ない渡り廊下で1人たたずむ。
考えるのは君のことで、幸せなはずなのに苦しいばっかり。









「 やだ…もう…っ」









募る気持ちは、いつしか消えるものだと思ってた。
雪が積もっても溶けてくように、なくなってくれると。


だけど雨は降り止まず、それどころか激しくなるばかりで苦しさも辛さも増してく。


恋が甘くて楽しいだなんて、そんな無責任なこと言ったのは誰だ。









光の隣で笑う大ちゃんが可愛いから、何も言えなくなる。
好きだと言って気まずくなる、そんなリスクは避けたいんだ。

ずっと傍にいるためには友達として笑っていなきゃいけない。なんでもない顔をして、気持ちを隠さないと。





無意味な涙が溢れてきた。









「 …ほら、だから言ったろ 」






もう泣き虫は治ったと思ったのに。
帰ってきたせいで、昔みたいにすぐ泣いてしまう。


覚えてる？その度に「もうやめろ」「あいつを思って泣くな」と言ってたこと。









「 や、ぶ……」









その正論は、俺を救うための言葉は、好きでいるのをやめられない俺にとって苦しいだけだったよ。

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