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yt side
僕はずっと、誰かと一緒が嫌だった。
幼稚園で先生が「皆んなで手を繋いで歌いましょう」と言う意味が分からないような子供であった。
どうして仲良くもないような人と手を繋いで歌わなきゃいけないんだ。そんな風に偏屈だった。
子供らしい子供であろうと、努力したこともあったけど心がどうしても違うと叫ぶ。
それからそういう努力が面倒くさくなった。
一纏めにされることは嫌悪しかない。
「 僕は、誰かと一緒にいることに安心感を覚えるような人間じゃない。他の誰かなんて、どうだっていいんだ。」
こんなこと語ったの初めてかもしれない。
急に気恥ずかしくなって無理に咳き込んだ。
侑李「 じゃあ、あなたに好きだよと言われる人は幸せですね。」
「 …なぜ?」
侑李「 君は特別だよ、と。言ってもらえているみたいで 」
いつもとは違うきゅっと口角の上がった笑みに、頬が緩んでしまいそうになる。
侑李「 中島くん、お花…ありがとう 」
確か涼介が言っていた「知念くんは笑うと格別に可愛い」という言葉を今になって思い出す。
そして身をもって知ってしまって、咄嗟に口元を掌で覆った。
「 君にはいないのか。好いている人 」
侑李「 …いますよ。僕なんか釣り合わないとても遠い存在ですけどね 」
「 それは、誰だ?」
微笑むだけで固有名詞を挙げない知念くんの横顔を眺めながら、花の香りを吸い込んだ。
胸が意味もなく締め付けられる。
さっきまでキラキラと温かな気持ちでいたのに、急に冷たくなってキリキリと痛む。
恋は忙しいんだな。
この痛みが切なさと、愛おしさからならば僕はどうしたらいい。
君のことを抱きしめることすらできやしないこの腕はどうしたらいいんだ。
「 …君なら、」
侑李「 え?」
花吹雪のような花弁がヒラヒラと横切った。
振り返る君の頬に少し触れて、綺麗で、手を伸ばしたくなったのを抑える。
「 君なら、大丈夫だ。自信を持ってその想い人に気持ちを伝えたらいい 」
本当は僕のことだけでいっぱいになってしまえばいいと思ったこの気持ちが独占欲だというのなら、そんな傲慢なこと君に強要できるはずなかった。
好きだと自覚したらこんなにも苦しくなるものなのか。恋が甘いと云った幸せ者に深く嫉妬をしながら知念くんから遠ざかった。
隣で息をすることすら、許されないかのように。
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りん - レスありがとうございます!とってもステキなやまちねでした…。ありいのもすごく好きです!依存してる山田くん、もうカッコ良かったです(( これからも神楽様を応援してます!頑張ってください!!! (2018年3月27日 7時) (レス) id: 13aa0fd7e6 (このIDを非表示/違反報告)
神楽(プロフ) - りんさん» やまちね書いてみましたが…いかがでしたか?短編ですので長々と書けずぎゅっと詰めたものになってしまいましたが…よかったら感想聞かせてくださいね。 (2018年3月26日 15時) (レス) id: 120d45bab3 (このIDを非表示/違反報告)
とびっ子の跳びっ子(プロフ) - 神楽さん» そうですか… お忙しいのにわざわざレスありがとうございます!これからも応援していますので頑張ってください! (2018年3月21日 21時) (レス) id: 7f79df94fb (このIDを非表示/違反報告)
りん - レスありがとうございます!リクエストいいですか??やまちね が見たいです! 先ほど拝見させていただいたありちねに出てきた山田くんが素敵で…。お互いに依存しているやまちねを 神楽さんに描いて欲しいです。お時間あればでいいので、お願いします。 (2018年3月21日 8時) (レス) id: 13aa0fd7e6 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)(プロフ) - リクエスト、だめですか? (2018年3月20日 23時) (レス) id: 324f9ed5ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神楽 | 作成日時:2018年3月12日 1時