007 心の潮騒 ページ7
yt side
「 ごめん。ちょっと忘れ物取りに帰ってもいい?」
涼介「 いいよー…けど、ちょっと意外かも 」
「 ん?なにが?」
涼介「 忘れ物とか、ふふ。しないタイプだと思ってた 」
含み笑いで物を言う癖があること、気づいているのだろうか。
俺もつられて少し笑いながらハンドルを切った。
「 …ねえ、」
涼介「 んー?」
彼といると空気が和らいで、自分までも白になった気がする。
エゴイズムを振りかざしていた惨めな自分が嘘みたいだ。
「 なんで、」
なんでいのちゃんを振ったの?
言いかけて、飲み込んだ。
言ってはいけない言葉のような、そんな気がして。
涼介「 なんで、なに?」
「 …いや。なんでもない 」
涼介「 …そっか 」
好きだった気持ちを疑うようになってしまったのはいつからだろう。
最近はそればかりを気にしてるのも、俺らしくない。
ずっと黒かった髪を最近、金色に染めた。
少しずつだけど、自分が変わっていってるのが分かる。
愛する人に裏切られて、傷ついて、それで自分の殻に閉じこもってしまったとき
抜け出せ、という人がほとんどだけどいのちゃんは違ったんだ。
俺のことを誰よりも分かってくれてた。
だけど、いつも答えはくれなかった。
『 いのちゃんは山田、くんの…どこが好きなの?』
正直俺は涼介に劣っていると認識していたのは顔しかない。
もしも顔だと言われたらそれまでだけど、いのちゃんは涼介の顔だけを好きなわけではないと分かっていたから賭けた。
『 んー……全部、かな 』
中学のときの同級生が俺に、しきりにいのちゃゆと関わるのをやめろと言ってきたのを思い出す。
いのちゃんは確かにどこか周りとは違った。
だけど俺はそこに惹かれてしまったんだ。
間違いなく、俺だけを見てくれる存在が欲しかったから。
青さはときに残酷で、俺たちを微笑うように傷つける。
それに気づかずに傷つけ合っていた。
俺たちはいつだって自分だけに正直だったから。
涼介「 この大学入ったの始めて 」
「 はぐれないでね 」
これは愛なのかそれともただの身勝手か。
分からないから、もう少し悩んでみよう。
もう少し、涼介の、そばにいよう。
「 …中島、裕翔?」
懐かしい声がして、振り向いた。
「 …ちねん?」
そこにはあの時、しきりに俺に忠告していた知念がいた。
侑李「 久しぶり、だね 」
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Kasumisou*(プロフ) - ヾ(・ω・`;)ノぁゎゎ ありがとうございます!!楽しみに待ってます!! (2018年2月9日 23時) (レス) id: 76a2f85b45 (このIDを非表示/違反報告)
神楽(プロフ) - へびさん怪人さん» いつもコメントくださりありがとうございますー。今コクのありちねちゃんは神楽もお気に入りなので是非書かせていただきます! (2018年2月9日 8時) (レス) id: d1428fae49 (このIDを非表示/違反報告)
神楽(プロフ) - Kasumisou*さん» いつもコメントありがとうございます〜。うふふ、デイズはかなり皆様に好評だったみたいで神楽も嬉しいです。あの2組ぜひ書かせていただきますね。 (2018年2月9日 8時) (レス) id: d1428fae49 (このIDを非表示/違反報告)
Kasumisou*(プロフ) - 完結おめでとうございます!コンビなのですが、ゆとやまさんが一番好きなのですが、神楽さんのお話の中ではデイズのやまいのさんとゆとちねさんがとても大好きです!なので、やまいのとゆとちねを推薦します!2組になってまいすみませんm(._.*)m (2018年2月5日 23時) (レス) id: 76a2f85b45 (このIDを非表示/違反報告)
arymきゃんでぃ?(プロフ) - こんにちは!やはりゆとやまに100票です笑 (2018年2月5日 22時) (レス) id: 16e28f2251 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神楽 | 作成日時:2017年12月23日 22時