005 クリスマス ページ5
yt side
涼介「 クリスマス、終わっちゃうね 」
「 ん?あー…そうだね 」
クリスチャンでもないのに。
日本人はお祭りごとが好きだからか、この手の物に敏感で街中それ一色。
涼介「 裕翔のさ、癖だよね。それ 」
「 んー?どれ?」
涼介「 最初に一回、ん?とか、んーって置くの 」
涼介が薄く笑って睫毛を伏せる。
あまりの長さに、雪が乗りそうだなとか場違いなことを考えた。
どうやら涼介は俺が思っているより、聡いらしい。
「 そう?気づかなかったな 」
涼介「 そーいうものだよ。癖って 」
「 ん。そっか 」
あーほら!また、って笑って、イルミネーションに向き直った涼介の横顔を何となく見つめる。
やっぱり綺麗な顔してるな、とかそういうことよりも今すぐここから逃げ出したくなったのはどうしてだろう。
急に涼介が確信めいたことを言ったからだろうか。
昨日、イヴの夜に久しぶりにいのちゃんと電話した。
まだ慣れないけど楽しくやっていると言っていたけど、声には疲れが出ていて。
当たり前だと言えばそうだけど、好きな人となると無性に心配になってしまう。
実行なんて出来ないのに、今すぐそっちへ行きたくなったりするのもそのせい。
いのちゃんは俺のことなんか好きじゃない。
そんな対象で見られてない。
分かってるけど、少しの期待を残してしまう甘さがどうしても抜けないんだ。
涼介「 あのさ、裕翔 」
「 ん?」
涼介「 …なんでもない 」
傷ついた顔して、偽善者のふりをするのなんて簡単なんだ。
もっと深い傷を作ればいい。
俺が君を好きじゃないと思い知って、もっと傷つけよ。
心が酷く渇くのを、いのちゃんのせいにしたくない。
それに似た焦りが募って涼介の表情をいつもより深読みしてしまう。
「 なあに?言ってごらん 」
想っていなくても、全然好きじゃなくても、頰に手を添えて微笑いかけるくらい簡単で
虚しさを隠すことだってもうお手の物。
今の俺は相手がいのちゃんじゃなくても、嫌いじゃなかったらきっと誰だって抱ける。
それは強さなんかじゃなくて、ただ脆くなってしまっただけ。
大人になるということを受け入れたみたいに、曖昧なボーダーラインを作ってる。
せめて、我慢できなくなるほどの熱い想いを抱えていたあの頃に戻れたら何か違うのかもしれない。
でも、何となく分かってる。
もうあんな風にはなれないこと。
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Kasumisou*(プロフ) - ヾ(・ω・`;)ノぁゎゎ ありがとうございます!!楽しみに待ってます!! (2018年2月9日 23時) (レス) id: 76a2f85b45 (このIDを非表示/違反報告)
神楽(プロフ) - へびさん怪人さん» いつもコメントくださりありがとうございますー。今コクのありちねちゃんは神楽もお気に入りなので是非書かせていただきます! (2018年2月9日 8時) (レス) id: d1428fae49 (このIDを非表示/違反報告)
神楽(プロフ) - Kasumisou*さん» いつもコメントありがとうございます〜。うふふ、デイズはかなり皆様に好評だったみたいで神楽も嬉しいです。あの2組ぜひ書かせていただきますね。 (2018年2月9日 8時) (レス) id: d1428fae49 (このIDを非表示/違反報告)
Kasumisou*(プロフ) - 完結おめでとうございます!コンビなのですが、ゆとやまさんが一番好きなのですが、神楽さんのお話の中ではデイズのやまいのさんとゆとちねさんがとても大好きです!なので、やまいのとゆとちねを推薦します!2組になってまいすみませんm(._.*)m (2018年2月5日 23時) (レス) id: 76a2f85b45 (このIDを非表示/違反報告)
arymきゃんでぃ?(プロフ) - こんにちは!やはりゆとやまに100票です笑 (2018年2月5日 22時) (レス) id: 16e28f2251 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神楽 | 作成日時:2017年12月23日 22時