000 僕だけの君 -anotherstory- ページ40
cn side
「 じゃあ、そろそろゆうてぃー来ると思うし僕はお暇しようかな 」
スマホを見る素振りをして、涼介にチラッと上目遣いながら笑いかける。
涼介「 今日はドレス選びにつき合わせちゃってごめんね。」
「 いや、いいものを見れたよ 」
涼介「 こんな年にもなって…気はずかしいどころじゃないよ!裕翔ってばもぉ…」
「 そんな謙遜しなくても。いや、それにしても心友のウエディングドレス姿を見る日が来るとは…この年になったからこそ感慨深い 」
涼介「 ……ちーちゃん行ってくることが博士みたい 」
「 一応これでも科学者のはしくれですから。」
ハーブティーの匂いをいっきに鼻に吸い込み、今度こそ立ち上がった。
心友である僕にすら腰の低い彼は職場でどれほど頭を下げているんだろうか。
いらない心配までするタチだからな、涼介は。
「 それじゃあ、行くね。」
涼介「 うん。ほんと、ありがとう!また式でね 」
軽く手を振り、歩き出す。
東京の街並みがバレンタインに染まりつつあって、カフェからは甘いチョコレートの香りがするほどだ。
浮かれてる。街全体が。
僕が見たかったのは、裕翔の幸せになる瞬間。
報われない恋ばかりをしていたから僕はずっと幸せになって欲しかった。
何でもない顔をするくせに、本人を前にすると切なさを隠しきれていない。
いのちゃんだって分かっていたくせに無理に傷をつけて、自分に依存させて
あの頃は本当に嫌いだったな。
『 今は俺のこと、好きじゃなくたっていい。だけど傍にいることとか、知念に何かあった時一番に駆けつけるのは俺であることは許可してほしい。』
『 僕の、どこがいいわけ?センパイ物好きすぎますよ。』
『 ……傷ついてる顔、よくするのに隠すから。知念くんって嘘がうまい。器用な人はいつも損をしてばかりだ。』
僕を見ている様で不快だった。
気づいているのに知らないふりをして嘘をついて。
いのちゃんが自分と似ているからこそ、嫌悪してたんだ。
現実を受け止めきれないとばかりに。
「 ……久しぶり、知念 」
少し、やつれた気がする。
だけど前よりも瞳は真っ直ぐで強い。
前に進めているんだろう。
「 久しぶりだね、いのちゃん 」
前に進む準備はできている。
あとは気持ちを、言葉を選ぶことなく吐き出すだけだ。
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Kasumisou*(プロフ) - ヾ(・ω・`;)ノぁゎゎ ありがとうございます!!楽しみに待ってます!! (2018年2月9日 23時) (レス) id: 76a2f85b45 (このIDを非表示/違反報告)
神楽(プロフ) - へびさん怪人さん» いつもコメントくださりありがとうございますー。今コクのありちねちゃんは神楽もお気に入りなので是非書かせていただきます! (2018年2月9日 8時) (レス) id: d1428fae49 (このIDを非表示/違反報告)
神楽(プロフ) - Kasumisou*さん» いつもコメントありがとうございます〜。うふふ、デイズはかなり皆様に好評だったみたいで神楽も嬉しいです。あの2組ぜひ書かせていただきますね。 (2018年2月9日 8時) (レス) id: d1428fae49 (このIDを非表示/違反報告)
Kasumisou*(プロフ) - 完結おめでとうございます!コンビなのですが、ゆとやまさんが一番好きなのですが、神楽さんのお話の中ではデイズのやまいのさんとゆとちねさんがとても大好きです!なので、やまいのとゆとちねを推薦します!2組になってまいすみませんm(._.*)m (2018年2月5日 23時) (レス) id: 76a2f85b45 (このIDを非表示/違反報告)
arymきゃんでぃ?(プロフ) - こんにちは!やはりゆとやまに100票です笑 (2018年2月5日 22時) (レス) id: 16e28f2251 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神楽 | 作成日時:2017年12月23日 22時