024 握り潰して ページ24
yt side
「 客？俺に？…分かった、通して 」
いつものように書類に目を通して、印を押して、その繰り返しをロボットのようにこなしていたら受付嬢から連絡が入って「ゆーとサン指名デス 」なんて片言の日本語で伝えてくれた。
ああ、依頼がきたのかって理解してすぐ。
『 だぁーかぁーらっ！あの医薬品は合成なの！』
一周回って聞き慣れない日本語が聞こえたのに驚いて、いやそれよりも………
「 …ち、ねん？」
フランス語で啖呵を切る彼は、小柄な見た目に反して意外と結構言うとこ変わってない。
「 …アミール、ありがと。この人知り合い」
電話に向かって叫ぶ知念にドン引きした顔のアミールに手を振って、彼を見つめる。
侑李「 ……昔、君が言っていたこと通りになった。」
「 え？」
侑李「 人生の全てが必然で、偶然なんかないって。」
どうしてこんなにも人は残酷に時間を止めたがるんだろう。
泣きたくなるほど、あの頃から何一つ変わっていない知念が目に映るだけでかなり堪えた。
「 覚えてたの？そんな昔のこと 」
侑李「 僕は昔からお出来になる子だったからね。記憶力は人並み以上だよ」
「 お、お出来？」
侑李「 そう……で？ここの法律事務所は依頼人にお茶の一つも出さないわけ？」
それこそ訴えるよ、なんて物騒なことを言いながらコーヒーを強請る姿が自然とあの頃と重なって見える。
十分だった。
俺には、あの1ヶ月で。
十分だったのに。
一度記憶した幸せは、簡単には消えない。
「 どうぞ。ミルク多めね 」
侑李「 ありがと。」
「 で？さっき電話に怒鳴ってたけど、どうしたの？」
侑李「 それが…… 」
話を聞くところによると、短期出張で知念の勤めるラボのフランス支社へ来たのはいいものの日本でしか取り扱っていない正規品をその筋のクスリだと騒ぎ立てられてしまったらしい。
白衣を羽織った、小さな知念。
俺をジッと見つめた後にふっ、と小さな笑みを浮かべた。
侑李「 これも何かの縁だから、教えてあげる。」
「 え？」
侑李「 恋愛ってやだね。回転扉みたいで、虚しい 」
俺を見つめるまっすぐな目は、あの空港のときの目と似ていた。
侑李「 涼介、今月末に結婚するよ 」
こんな時に限って「寒いね」って笑う君が鮮明に、蘇ってくる。
もう、握り潰したはずの、想いと共に。
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Kasumisou*(プロフ) - ヾ(・ω・`;)ﾉぁゎゎ ありがとうございます!!楽しみに待ってます!! (2018年2月9日 23時) (
レス) id: 76a2f85b45 (このIDを非表示/違反報告)
神楽(プロフ) - へびさん怪人さん» いつもコメントくださりありがとうございますー。今コクのありちねちゃんは神楽もお気に入りなので是非書かせていただきます！ (2018年2月9日 8時) (レス) id: d1428fae49 (このIDを非表示/違反報告)
神楽(プロフ) - Kasumisou*さん» いつもコメントありがとうございます〜。うふふ、デイズはかなり皆様に好評だったみたいで神楽も嬉しいです。あの2組ぜひ書かせていただきますね。 (2018年2月9日 8時) (レス) id: d1428fae49 (このIDを非表示/違反報告)
Kasumisou*(プロフ) - 完結おめでとうございます！コンビなのですが、ゆとやまさんが一番好きなのですが、神楽さんのお話の中ではデイズのやまいのさんとゆとちねさんがとても大好きです!なので、やまいのとゆとちねを推薦します!2組になってまいすみませんm(._.*)m (2018年2月5日 23時) (レス) id: 76a2f85b45 (このIDを非表示/違反報告)
arymきゃんでぃ?(プロフ) - こんにちは！やはりゆとやまに100票です笑 (2018年2月5日 22時) (レス) id: 16e28f2251 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：神楽
| 作成日時：2017年12月23日 22時
