018 煌めき ページ18
cn side
この世に絶対はない。
あれだけ幸せそうでも、あれだけお似合いでも、世界は簡単に二人を引き離す。
「 おはよう、知念 」
色白の肌が、もはや青く見えるくらい顔色が悪くてフニャっと笑うけど明らかに様子がおかしい。
今にも壊れてしまいそうな涼介の手を握って、顔を覗き込んだ。
「 携帯、繋がらなくて怖かった…なんて顔してるの、涼介。」
僕さえも映そうとしない瞳に、違和感と焦りを覚える。
もう一度、涼介?と声をかけたらフラッと体が揺れた。
「 っ、涼介!しっかりして!」
そのまま僕に縋るように倒れこんできたから、抱きとめた。
心なしか息が荒くて、目も虚ろだ。
大貴がくたる姿を見て眉を落として微笑う。
大貴「 めちゃくちゃ心配してたよ侑李。もちろん俺も。可愛い後輩が心配でした 」
涼介「 っ…ごめ、なさ 」
大きな目から涙が溢れるよりも早くぎゅっと抱きしめた。
「 よく頑張ったね、涼介 」
僕の言葉で張っていた糸が切れたみたいに、涼介の意識が沈んだ。
「 っと…ありがと 」
大貴「 侑李持てないだろ?俺がおぶるよ 」
研究室に置いてある資料を取りに大学へ来ただけだったけど、来てよかった…
気絶したのが涼介だから下手に他の人が見つけなくてよかったと心の底から思う。
大貴「 俺の車に乗せるよ。そっから高嶺ちゃんの家まで送るから。侑李は看病するだろ?」
「 勿論。大貴は?」
大貴「 買出し係になるから。料理できないじゃん 」
「 ああ、そうだったね。ごめんよろしく 」
こうなることを、分かって送り出したけど
常々末恐ろしいと思う。
どうして今頃、帰ってきたりしたの。
涼介から、あの人、伊野尾慧が帰ってきたと知らされたのは大貴が裕翔の家に美人が出入りしていると聞いた次の日だった。
『 …え?ほんとに?見間違えとかじゃなくて?』
『 20年一緒にいた人のこと、間違えたりしないよ 』
スーパーの袋を持った二人が、仲睦まじげに裕翔の家へ入っていったらしい。
『 俺、裕翔の重荷にはなりたくないの。』
大粒の涙をためた涼介がそう言って、僕に微笑いかけたんだ。
涼介はもしかするとこうなることをどこかで、悟っていたのかもしれない。
「 なに、してんの…ゆうてぃ 」
星屑みたいな煌めきが心友の心を啄むのを、僕は黙って見ていられるほど大人じゃない。
493人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Kasumisou*(プロフ) - ヾ(・ω・`;)ノぁゎゎ ありがとうございます!!楽しみに待ってます!! (2018年2月9日 23時) (レス) id: 76a2f85b45 (このIDを非表示/違反報告)
神楽(プロフ) - へびさん怪人さん» いつもコメントくださりありがとうございますー。今コクのありちねちゃんは神楽もお気に入りなので是非書かせていただきます! (2018年2月9日 8時) (レス) id: d1428fae49 (このIDを非表示/違反報告)
神楽(プロフ) - Kasumisou*さん» いつもコメントありがとうございます〜。うふふ、デイズはかなり皆様に好評だったみたいで神楽も嬉しいです。あの2組ぜひ書かせていただきますね。 (2018年2月9日 8時) (レス) id: d1428fae49 (このIDを非表示/違反報告)
Kasumisou*(プロフ) - 完結おめでとうございます!コンビなのですが、ゆとやまさんが一番好きなのですが、神楽さんのお話の中ではデイズのやまいのさんとゆとちねさんがとても大好きです!なので、やまいのとゆとちねを推薦します!2組になってまいすみませんm(._.*)m (2018年2月5日 23時) (レス) id: 76a2f85b45 (このIDを非表示/違反報告)
arymきゃんでぃ?(プロフ) - こんにちは!やはりゆとやまに100票です笑 (2018年2月5日 22時) (レス) id: 16e28f2251 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:神楽 | 作成日時:2017年12月23日 22時