011 虫の知らせ ページ11
ym side
なんだか今日は朝から、胸がザワザワする。
「 ….んー 」
図書室から出て、亡霊みたいにトボトボ歩く俺は案の定白い目で見られる。
今日これからあと3時間あるんだけど…帰りに裕翔の家に寄って行こうかな。
あぁもう…ほんとにどうしたもんかな。
「 それは、こっちの台詞なんだけど?」
「 高嶺ちゃん、なにしてんのー?」
俺の前に二つ影ができて、聞き慣れた声とそうでない声もして虚ろになってきた視線を上げた。
「 へ、ち、知念?…と有岡先輩っ?!」
やれやれ、と声を漏らしながら俺と同じ視線の高さになった知念がジッと見つめてくる。
侑李「 見ない間にだいぶ老けたね 」
「 うっ……なんか、胸がざわついて 」
大貴「 何々?虫の知らせ?」
有岡先輩が差し出してくれた手を有難く思いながらとって、とりあえずしゃんと立つ。
何か考えるように視線を下へ向けた知念を不思議に思ってると、有岡先輩が「あっ!」とひらめき顏で俺の両肩をつかんだ。
「 えっ、えっと?」
大貴「 高嶺ちゃんさあ、中島と付き合ってるんだよね?」
「 へっ……えっ?」
侑李「 ちょ、大貴?」
うーん、と唸って先輩が俺の目を見つめる。
大貴「 あいつ、すっげー美人家に連れ込んでたよ。しかもさその美人、キャリーバッグ持ってんの。ありゃあ絶対訳ありだね 」
「 び、じん?」
目の前が、真っ暗になって足が震える。
大貴「 あー、美人つっても男ね?」
まさか、それって…いやでも…フランスにっ…
侑李「 今日車あったよね?」
大貴「 え?あーうん。車、だけど…」
侑李「 送ってあげてよ、涼介のこと 」
知念が肩を支えてくれて、そこでやっと、息を吐いた。
震えてるのは冬のせいじゃなくて、隣に裕翔がいないのと、最悪の事態を頭が過っているから。
侑李「 …涼介、大貴が見たのはおそらく、伊野尾慧だ。ほぼ、間違いないと思う 」
知念のその言葉を最後に、なにも聞こえなくなった。
いや、なにも聞きたくなかった。
だって知ってるんだ、俺。
どれくらい裕翔が伊野尾ちゃんを好きか。
痛いくらい、知ってる。
やっと、裕翔が俺を見てくれるようになったと思ったのに。
もしも神様がいるのだとしたらこれは、あまりに残酷すぎる運命だ。
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Kasumisou*(プロフ) - ヾ(・ω・`;)ノぁゎゎ ありがとうございます!!楽しみに待ってます!! (2018年2月9日 23時) (レス) id: 76a2f85b45 (このIDを非表示/違反報告)
神楽(プロフ) - へびさん怪人さん» いつもコメントくださりありがとうございますー。今コクのありちねちゃんは神楽もお気に入りなので是非書かせていただきます! (2018年2月9日 8時) (レス) id: d1428fae49 (このIDを非表示/違反報告)
神楽(プロフ) - Kasumisou*さん» いつもコメントありがとうございます〜。うふふ、デイズはかなり皆様に好評だったみたいで神楽も嬉しいです。あの2組ぜひ書かせていただきますね。 (2018年2月9日 8時) (レス) id: d1428fae49 (このIDを非表示/違反報告)
Kasumisou*(プロフ) - 完結おめでとうございます!コンビなのですが、ゆとやまさんが一番好きなのですが、神楽さんのお話の中ではデイズのやまいのさんとゆとちねさんがとても大好きです!なので、やまいのとゆとちねを推薦します!2組になってまいすみませんm(._.*)m (2018年2月5日 23時) (レス) id: 76a2f85b45 (このIDを非表示/違反報告)
arymきゃんでぃ?(プロフ) - こんにちは!やはりゆとやまに100票です笑 (2018年2月5日 22時) (レス) id: 16e28f2251 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神楽 | 作成日時:2017年12月23日 22時