アイネクライネ …cn ページ5
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もうそろそろ、来るはずなんだけど。
「 そんでさ?俺って、欲しいものがあると手段選ばないタイプなわけよ 」
あ、やぶ先輩だ。
…ということは!
「 ちょっと、聞いてんの?」
幼馴染の涼介の声も無視して
僕はじっと、窓の外を見つめる。
「 ううん。聞いてない。」
涼介「 …ちーちゃんよ、いくらイノチャン先輩がいるからってそりゃないぜ 」
「 うるさい。あと、ちーちゃんって呼ばないで 」
涼介なんてあしらって、僕は教室から飛び出す。
普段は廊下なんて走んないけど
先輩のためなら、いいんだ。
「 いのー先輩っ!」
校則なんて、いいんだ。
「 へ?……あれぇ?ちーちゃんじゃーん 」
聞いたか、りょーすけ。
「 へへ、せんぱいっ 」
「 うおっ…ふはっ、かわいいね?」
ちーちゃんって呼ぶのは、いのー先輩だけなの。
いのお、けい先輩。
僕の大好きな先輩。
「 お、今日もやってんなー 」
「 ほんと、仲良いね?」
あと、
「 やぶぅに光じゃーん。お前らこそ、公共の場でいちゃこらしやがって!」
「 ばっ、!」
「 してねーわ!ここでは!」
片想い、仲間。
「 やぶ先輩、ひわーい!」
「 ほらぁ。やぶ、言われてやんのぉ 」
「 ち、ちねん…っ 」
「 いのーが変なことおしえっからだろ!」
「 えーっ 」
ああ、ほら、また。
先輩は切なそうに笑う。
だけど僕は、心の底から笑う。
いいんだ。
いのー先輩の想いに気づかないのなら、それでいい。
だから僕は笑うんだ。
気づいていない二人に、気づいていない先輩に。
仲良しごっこは、もう、やめましょうよ。
「 いのー先輩!一緒に帰りましょ?」
「 はーいよ。んじゃ、そーいうことで 」
僕はそんな先輩の背中にワライながら
そっと、嘘を詰めた。
「 せんぱい、泣いていいよ?」
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こさこ(プロフ) - こんにちは(*´ー`*)すごく表現が綺麗なお話がいっぱいで夢中になって読みました◎とくに最後のゆといのちゃんのお話すっごく続きが気になります…!!(←ゆといの厨なので)素敵なお話をありがとうございました! (2018年1月8日 17時) (レス) id: 4f9f600403 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:神楽 | 作成日時:2017年4月26日 16時