シーズンワン ytin ページ30
in side
俺は男だっつーの。
何度、心の中でそう思っただろうか。
数えるのも面倒くさい。
ここに引き籠るようになって早くも五年。
光と薮には迷惑かけっぱなし、心配させっぱなし。
だけど、俺はこの生活をやめるつもりはない。
宏太「 彼奴ら来たみたい。どうする?挨拶するか?」
「 ううん。後でにする 」
宏太「 じゃあ俺行ってくるから。様子見しとけ」
薮が俺の広いおでこにキスして、髪を撫で出て行った。
光にしても薮にしても、俺を3歳くらいの幼児だと思っているのか
どこかへ出るときいつもおでこにキスするのはお決まり。
最初は恥ずかしかったけど、今はしてくれないと落ち着かないくらい体に染み付いてる。
この関係を変だと言われても気にならない。
いや、そもそも他人に会うことなんてなんないか。
薮のひょろい背中を眺めながら、俺は考えた。
『 今日来る三人さ、アイドルグループなんだけど 』
『 お前が最近かっこいいって騒いでた中島裕翔もいるぞ。挨拶くらい、してみれば?』
なかじま、ゆうとくん。
すっごく爽やかなのにどこかに影を感じる。
でもそんな胡散臭さが俺には安心できた。
始めて見たのに、何だか心が騒めいて…
気がつけば薮に
「 この子誰?知ってる?」って聞いてて、
気がつけば光に
「 このグループのCD欲しい 」って口走ってた。
パタパタ、足音が聞こえて
クスクス、笑い声がする。
いつもより温かな雰囲気のリビングがほんのすこーし気になった。
隣の部屋が騒がしくて、彼の声が聞こえたから覗いてみたの。
「 …かっこ、いい 」
テレビ画面で観るよりエフェクトかかってかっこいい。
薮も光も格好いいけど、
やっぱりアイドルだ。きらめきが違う。
はぅ…と声が出なくなって
ドラムを見つめる真面目な横顔に惚けてしまう。
少し離れたここからでも分かる長い睫毛。
その奥に澄んだ瞳がよく見えて
眼差しで殺されてしまいそう。
綺麗な黒髪は無造作にセットしてあって、
羽織ってるゆるいカーディガンはまるで中島くんのために作られたんじゃないかって思うくらい、彼のスタイルの良さが引き立っていて、とても似合ってる。
薮にも光にも内緒にしてること。
俺ね?中島くんのことアイドルとしてじゃなくて…
一人の人間として、たぶん、好きになっちゃったの。
245人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
こさこ(プロフ) - こんにちは(*´ー`*)すごく表現が綺麗なお話がいっぱいで夢中になって読みました◎とくに最後のゆといのちゃんのお話すっごく続きが気になります…!!(←ゆといの厨なので)素敵なお話をありがとうございました! (2018年1月8日 17時) (レス) id: 4f9f600403 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:神楽 | 作成日時:2017年4月26日 16時